抄録
本研究は、研究機関発ベンチャーの創造プロセスを考察することを目的とし、先行研究のレビューをベースとした新藤(2005)のフレームを、仮説として用いている。同研究では、起業家活動を、技術開発、事業開発という2段階に分類し、前者には、発明家、技術特性、知的財産が、後者には、起業家、事業コンセプトと計画、資源が含まれる。2段階の間には起業機会が存在し、背景にある法律・政策、研究機関は起業家活動全体に影響を与える。また本研究では研究方法として、単一事例研究を行っている。発見事項のポイントとしては、第1に研究機関発ベンチャーの起業家活動では、研究・事業の2つのネットワークの存在が重要となる。第2に、2つのネットワークを結ぶメタネットワークが産学連携の基盤となっている。第3に、起業家活動を「探索の王手詰めの理論」と捉えることで、技術と事業との双方向性を理解することが可能となる。本研究は単一事例による限界はあるが、その問題は今後、三角測量の導入により解決されると考える。