建築設計者は、エスキスを進める際に場面を想像しながら様々な空間のイメージ要素を創り出している。本研究では、この空間イメージ要素に着目し、実務者と学生について設計実験を行った結果、次のことを明らかにした。①実務者と学生の空間イメージ要素の思考数には大きな違いがあり、思考数が設計評価と関係している。②実務者のイメージ要素の思考割合は、実務経験を重ねることで類似するが、学習途上の学生の思考割合は、知識や経験不足から個人差が大きい。③実務者には、「使い方」「空間のつながり」「大きさ」のイメージ要素を連動して増加させている設計プロセスがある。④設計の進め方に1種類のイメージ要素を軸に連続して思考するケースと少ない種類のイメージ要素だけを連続的に思考するケース、多種類のイメージ要素を連続して思考するケースの3つのプロセスタイプがあり、少ない種類のイメージ要素だけを連続的に思考するプロセスにおいて実務者と学生の違いが大きい。