動脈硬化
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高脂血症患者のアポ蛋白A-Iおよびアポ蛋白Bの濃度の測定
古賀 俊逸池田 健次郎井林 博
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1976 年 4 巻 3 号 p. 299-305

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抄録

高脂血症におけるリポ蛋白代謝の変化を検討する目的で, 血漿中のアポ蛋白A-Iおよびアポ蛋白Bの濃度を正常者および高脂血症患者において測定した. 測定はapo A-Iおよびapo Bに対する特異抗血清を用いるロケット免疫電気泳動法によった. この定量法は我々の研究室で開発したものであり, これらのアポ蛋白の定量には簡便でしかも良好な測定成績を示した.
正常者におけるapo A濃度は18~22歳の男性9人では102±18単位/100ml (平均±標準偏差), 同年の女性11人では111±7単位/100mlであった. さらに, これら若年正常人のapo B濃度は男性で99±29, 女性で101±21単位/100mlであった. 35~60歳の高年正常男性18人ではapo A-Iは112±20, apo Bは124±24は単位/100mlであった. 同じく35~60歳の男性高脂血症患者においてはapo A-IはII型7例で98±15, IV型16例で119±25単位/100mlであり, II型においてやや低下傾向を示した. 一方, apo Bはこれら高脂血症で著しく増加しており, II型では203±26, IV型では208±16単位/100mlであった.
Apo Bとコレステロール濃度との間には有意の相関関係が認められた. 一方, apo A-Iとコレステロールの関係は, 正常者では正の相関, 高脂血症患者では逆相関関係であった. 以上のことより, 高コレステロール血症の成因にapo A-I濃度の低下が関与している可能性が示唆された.

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© 一般社団法人 日本動脈硬化学会
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