抄録
保証業務研究は,実は監査論研究に計り知れないインパクトをもたらす可能性を秘めている。従来の監査論は,会計学を土台にした財務諸表監査とその外延領域の研究に留まっているが,保証業務概念の中に財務諸表監査も取り込んだうえで,広範,多様な保証業務を研究対象とすることで,社会システム論としての監査論の独立もあり得る。おそらく,将来的には,監査論に対する社会的なニーズがそのような方向へと導いていくのではないかと考えられるのである。もし,このような予測が的中するとすれば,これはまさに監査論のパラダイムの変革を意味することになる。その意味でも,本研究の意義がある(20)。