抄録
岩手県陸前高田市にある国の名勝「高田松原」は,2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震による大津波に呑み込まれ壊滅状態になったが,奇跡的に1本だけ倒れずに残った。「奇跡の一本松」である。懸命の保護活動が行われたが,海水で根が腐ってしまい,2012年9月12日ついに伐採された。切られた松は防腐処理を施した上で,元の場所にモニュメントとして保存されることになった。筆者らは,このプロジェクトにおいて,航空宇宙技術振興財団の技術アドバイザーとしてモニュメントの耐風設計における風荷重評価を担当した。ここではその基本的な考え方を述べる。