抄録
東京都台東区上野公園にできたカワウの不忍池コロニーは,関東地域の創設コロニーで,1987年10月上旬頃に一部の個体が,東京都大田区森ヶ崎に小形のサブコロニーを形成した.そこで,サブコロニー形成時の生態的な両コロニーの関係を調べた.
その結果,大きな特徴は,若齢の個体が多く移住していたこと,サブコロニーでは,不忍池コロニーの繁殖休止期にも繁殖活動を継続し,周年繁殖つがいがいたことであった.このことは創設コロニーの繁殖活動リズムからずれた個体が多く集まっていたか,あるいは若齢つがいは出身コロニーの繁殖活動リズムの影響が少ないことを示していたと考えられる.