日本鳥類標識協会誌
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一般論文
サハリン日露共同標識調査で得たシマゴマLuscinia sibilans,ムジセッカPhylloscopus fuscatus,カラフトムジセッカPhylloscopus schwarziに関する知見
今野 怜村上 速雄松尾 武芳
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2013 年 25 巻 2 号 p. 65-76

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抄録

 シマゴマ,ムジセッカ,カラフトムジセッカを繁殖地であるサハリンで捕獲し,その形態的特徴について詳しく調べた.シマゴマの幼羽では体上面の広い範囲に淡色の軸斑があった.ムジセッカとカラフトムジセッカの幼羽では,ともに体上面は褐色,体下面はより淡い色で,前者は体上面と体下面ともに灰色みがあり,後者では体上面にはオリーブ色み,体下面には黄色みがあった.3種とも成鳥の繁殖後換羽は完全換羽,幼鳥の幼羽後換羽は部分換羽であった.幼鳥の自然翼長の平均値はシマゴマ 66.0 mm,ムジセッカ 58.7 mm,カラフトムジセッカ 60.0 mmであった.シマゴマは羽衣を問わず大きさと尾羽の色で同所的に生息する小型ツグミ類と識別できた.ムジセッカとカラフトムジセッカは翼帯を欠く点でサハリンや日本で繁殖する他のメボソムシクイ属の種と異なっていた.この2種は互いによく似ているが,識別には嘴の形,脚の太さと色,眼の大きさが役立つであろう.

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