日本鳥類標識協会誌
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一般論文
ヒメウPhalacrocorax pelagicusの骨格の計測値を用いた種同定
福田 道雄
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2014 年 26 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

 ヒメウPhalacrocorax pelagicusは北太平洋の沿岸部に広く分布するウである.日本には4種のウ類が生息し,互いに生息域が重複し合っている.その中でヒメウは最も体サイズが小形であるが,ウミウとカワウの2種と広範囲に分布が重複しているため,時として骨だけによる種同定が困難な場合がある.そのため,ウ類として回収された骨や出土した骨の種を同定する場合には,本種の骨の計測値に関する資料が重要である.しかしながら,ヒメウの骨サイズについて,詳しく記載された報告は少ない.そこで,ヒメウ28個体の主要な14カ所の骨の39部位について計測した.ウミウおよびカワウと骨サイズを比較すると,計測範囲で重複しない多数の部位が認められた.このことから,全身の多くの骨が揃っていれば,骨の計測によりヒメウをウミウおよびカワウと識別することが可能となることが明らかとなった.

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© 2014 日本鳥類標識協会
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