日本鳥類標識協会誌
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一般論文
ケリVanellus cinereusのつがい関係の継続年数および離婚再婚の例
河地 辰彦
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2018 年 30 巻 2 号 p. 71-79

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抄録

栃木県北東部の那須野ヶ原で繁殖するケリVanellus cinereusについて,色足環を用いた個体識別と追跡調査をおこなった.その結果,複数年にわたるつがい関係や雌雄の帰還性の差,つがい相手が生存していても別な個体と再婚した例について情報が得られた.

ケリは,年を隔てても同じ営巣場所を利用し続ける帰還性の強い鳥であることが確認された.しかも,雌よりも雄にその傾向が強く見られた.同じ営巣場所を継続して利用した年数は,雌が平均2.4年に対して,雄は平均6.1年で有意差が認められた.

つがい関係は,1繁殖期間中は一夫一妻のみで,複数年にわたって継続していた.しかし,長期にわたって継続するものは少なく,雌は数年で替わっていた.つがい関係の継続は最長5年間であった.また,元つがい相手が生存しているにも関わらずそれぞれが別個体と再婚した例もあった.

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