行動経済学
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論文
男性の育児休業に関する誤認識の存在と取得意思との関係
竹尾 葉中山 ひとみ田立 まゆ三谷 羊平
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2024 年 17 巻 p. 3-21

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抄録

男性の育児休業制度は各国で導入が進んでおり,日本では1991年の育児・介護休業法で男性を含むすべての労働者の取得が認められた.しかし男性の取得割合は依然として低く,企業の組織構造などの他に,周囲の人々の意見に対する誤認識が原因となっている可能性がある.本研究は20代・40代・60代の男女合計300名を対象としたオンラインサーベイを用いて,各回答者に男性の育児休業取得に対する賛否を尋ねたうえで,他の回答者の年代・性別ごとに賛成割合を予測させた.調査結果より,他者の賛成割合についての認識の平均は51.7%であり,実際の賛成割合91.0%よりも有意に低く,誤認識の存在が示された.年代が高いグループに対する認識ほど低くなり,誤認識の程度はより大きくなること,そして,同じ年代の中では,男性に対する認識ほど低いことが明らかになった.男性の取得意思は,20代女性に対する認識と正の相関を持つ傾向が認められた.

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© 2024 行動経済学会
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