行動経済学
Online ISSN : 2185-3568
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論文
  • 川西 建, 堀内 愛子, 佐々木 周作
    2025 年18 巻 p. 1-18
    発行日: 2025/05/08
    公開日: 2025/05/08
    ジャーナル フリー

    近年,マーケティング・リサーチでは広告動画の感想を問う自由回答形式質問が増えているが,意味をなさない文字列等の「不真面目回答」の出現が課題となっている.本研究では,インターネット調査上でランダム化比較試験を行い(n=10,324),①コミットメント②損失を強調したメッセージ③利得を強調したメッセージという行動経済学的施策(ナッジ)が不真面目回答に与える効果を評価した.結果として,①②③の施策全てが不真面目回答者数と回答数の両方を減らし,さらに,②③は不真面目回答者が選択する傾向のある中間選択も減少させた.これらの施策からは回答中断者や回答負荷を増やすといった負の影響は確認されず,むしろ③利得強調のメッセージからは回答中断者や回答負荷を減らす効果が観察された.以上より,行動経済学的施策(ナッジ)によって,調査での不真面目回答の存在による回答回収の非効率性を低減させられる可能性が示唆された.

  • 村田 拡介, 秋田 航汰, 武村 翼, 森本 飛鳥
    2025 年18 巻 p. 19-55
    発行日: 2025/05/23
    公開日: 2025/05/23
    ジャーナル フリー

    大学生の欠食に対応するべく大学生協はミールプラン制度を運用している.しかし,ミールプランと欠食の関係は明らかになっていない.そこで,本研究ではミールプランへの加入が大学生の欠食に及ぼす影響を分析した.第58回学生生活実態調査,大学情報サイト「マナビジョン」,令和2年国勢調査を用い,ミールプランが学生の食事摂取に及ぼす効果を推定した.ただし,ミールプランが任意加入であるために生じるセレクションバイアスに対処するべく,操作変数法による推定を行った.推定の結果,ミールプラン加入は1日3食以上の食事をとることに有意な正の効果をもたらしており,欠食を減少させていることが明らかとなった.また,ミールプラン加入によって食事をとる学生が有意に増加している時間帯と有意に減少している時間帯の双方が存在した.これは,生協食堂の営業時間を背景として,ミールプランが適切な食習慣の形成にも寄与している可能性を示唆する.

  • 鈴木 恭平, 佐々木 周作, 大竹 文雄
    2025 年18 巻 p. 56-83
    発行日: 2025/06/18
    公開日: 2025/06/18
    ジャーナル フリー

    梅毒の感染者の報告数は2010年代半ばから急増している.予防とまん延防止には,検査による早期発見と早期治療が重要である.本論文では,ナッジメッセージが梅毒検査の受検意向を高めるかどうかを検証した.オンライン調査でランダム化比較試験を実施し,行動経済学に基づく5種類のメッセージが,検査の受検意向へ与える効果を測定した.その結果,「あなたがきっかけで大切な人も感染してしまいます」という梅毒の健康リスクをパートナーへの損失として表現した利他的メッセージが,受検意向を高める効果があることが明らかになった.効果について異質性の分析も行ったところ,利他性を刺激するメッセージは,性年代や梅毒の事前知識,学歴,交際相手の有無に関わらず,受検意向を高めることが分かった.

  • 久米 功一, 鶴 光太郎, 佐野 晋平, 安井 健悟
    2025 年18 巻 p. 89-113
    発行日: 2025/10/10
    公開日: 2025/10/10
    ジャーナル フリー

    本稿では,小学校時代の課外・学校外活動の選択に関連する要因とその成果に関して実証的に分析した.具体的には男女別に運動と音楽の経験を分析してその違いを明らかにした.運動や音楽の活動の参加に関しては,とくに父親の学歴が影響していた.運動の選択には,交友関係の強さや地域行事への参加といった社会関係資本との関係がみられ,音楽の選択には,暮らし向き,家族でコンサートに行く,読書の経験といった文化資本が関係していた.運動や音楽の経験の成果としての学業成績,非認知能力,学歴・賃金などに対しては,運動と音楽のどちらもやらないよりも,運動と音楽のいずれかを選択したグループの成果が高かった.また,運動,音楽は,性別や尺度によって異なる成果と関係していた.例えば,男女とも運動を選択したグループの賃金は高い一方,男女とも音楽を選択したグループでは小学校の学業成績が高かった.非認知能力については,女性の場合,運動を選択した人は音楽に比して外向性や競争選好が高く,これが賃金に対する影響に結び付いている可能性が示唆された.運動,音楽両方を習った人は,子供側の負担が高く,男女とも片方だけやる場合よりも尺度によっては成果のスコアが低いことも確認された.

  • Keiko Iwasaki, Yoko Muramatsu
    2025 年18 巻 p. 114-130
    発行日: 2025/12/01
    公開日: 2025/12/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

    A growing number of studies, prompted by the global spread of COVID-19, have confirmed that face masks can affect emotion recognition of perceivers. However, it remains underexplored whether face masks also influence emotional contagion, especially among children―despite concerns that the developmental impact could be more significant for children than for adults. In this study, we examine the effects of face masks on smile recognition and emotional contagion among children and adults using a large-scale web experiment (n=1,744; Japanese sample; 807 child perceivers and 937 adult perceivers). Our findings reveal heterogenous impacts of face masks on smile recognition and perceivers’ emotions, depending on characteristics of both the expressers and the perceivers. First, while face masks generally impair smile recognition, they can sometimes make neutral faces appear more like smiles. Second, compared to children, adults are more likely to interpret neutral faces without masks as smiling; therefore, the reduction in smile recognition caused by masks is greater for adults, particularly adult males. In contrast, face masks disrupt emotional contagion more strongly in children than in adults. Furthermore, our mediation analysis indicates that masks directly reduce the spread of positive emotion, rather than indirectly through impaired smile recognition. In addition, we observe that masks may also heighten negative emotions in perceivers.

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