行動経済学
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書評
論文
  • 竹尾 葉, 中山 ひとみ, 田立 まゆ, 三谷 羊平
    2024 年 17 巻 p. 3-21
    発行日: 2024/07/24
    公開日: 2024/07/24
    ジャーナル フリー

    男性の育児休業制度は各国で導入が進んでおり,日本では1991年の育児・介護休業法で男性を含むすべての労働者の取得が認められた.しかし男性の取得割合は依然として低く,企業の組織構造などの他に,周囲の人々の意見に対する誤認識が原因となっている可能性がある.本研究は20代・40代・60代の男女合計300名を対象としたオンラインサーベイを用いて,各回答者に男性の育児休業取得に対する賛否を尋ねたうえで,他の回答者の年代・性別ごとに賛成割合を予測させた.調査結果より,他者の賛成割合についての認識の平均は51.7%であり,実際の賛成割合91.0%よりも有意に低く,誤認識の存在が示された.年代が高いグループに対する認識ほど低くなり,誤認識の程度はより大きくなること,そして,同じ年代の中では,男性に対する認識ほど低いことが明らかになった.男性の取得意思は,20代女性に対する認識と正の相関を持つ傾向が認められた.

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論文
  • 川内 美月, 白石 小百合, 丹後 健人
    2024 年 17 巻 p. 24-38
    発行日: 2024/10/03
    公開日: 2024/10/03
    ジャーナル フリー

    本論文では世帯内の格差,特に夫婦間の経済格差を定量化するとともに,これが主観的幸福度に与える影響を分析した.論文ではまず消費格差をはじめとする経済格差に関する記述的分析を行った.具体的にはLise and Seitz (2011)にしたがって消費格差を定量化し,世帯間と世帯内の消費格差の時系列推移を推定することで,日本においては世帯間の消費格差が2000年以降横ばい傾向にある一方で,世帯内の格差は近年縮小傾向にあることを指摘した.また夫婦間の私的消費を確認すると,1990年代は妻の私的消費は夫のそれと比べて三分の二程度であったが,足もとでは妻の私的消費が夫の私的消費とほぼ同水準にあり,夫婦間の私的消費格差がほぼ解消していた.夫婦間の消費格差の解消が妻の主観的幸福度に与えた影響も分析した.推計の結果,夫婦間の私的消費格差が縮小すると妻の主観的幸福度が上昇することが分かった.この結果は,相対所得仮説を考慮してもなお頑健な結果であった.本論文の結果は経済格差を議論するにあたり,世帯間の格差のみならず世帯内の格差にも留意すべきであることを示唆している.

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