2016 年 9 巻 p. 12-29
貯めたポイントを1ポイント単位で使用できるロイヤルティ・プログラムにおいて,消費者はどのようなときにポイントを使用するのであろうか.中川(2015)のポイントに関するメンタル・アカウンティング理論から示唆される通り,ポイント残高がポイント使用意図や支払いの知覚コストに影響を与えるという仮説について,本研究では家電量販店およびスーパーマーケットのロイヤルティ・プログラムの会員を対象とした実験がおこなわれた.実験結果から,ポイント残高がポイント使用意図,支払方法の選択,支払いの知覚コストに影響を与えていることが明らかになった.従来の研究結果とは異なり,支払金額はそれほど影響を与えていなかった.ポイント残高が少ない消費者にポイント使用を促すことは,ポイントを全く使わない場合よりもかえって支払いの知覚コストを高めてしまう.したがって消費者にポイントの使用を促す際には,ポイント残高がある程度以上の場合にすべきであることが示唆される.