行動経済学
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第10回大会プロシーディングス
リスク選好が乳がん検診の受診行動に及ぼす影響:プログレス・レポート
佐々木 周作平井 啓大竹 文雄
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2017 年 9 巻 p. 132-135

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抄録

本研究は,行動経済学におけるリスク選好が日本人女性の乳がん検診の受診行動に及ぼす影響を検証する.乳がん検診の主対象である40歳台・50歳台の女性のうち,自治体検診・主婦検診の乳がん検診の対象者と想定できる者602名に対し,インターネット・アンケート調査を実施した.その中に,プロスペクト理論に基づいた仮想的実験質問を設定し,回答者の,利得局面と損失局面それぞれでのリスク回避度を抽出した.分析結果から,利得局面でリスク回避的に意思決定する人ほど乳がん検診を受診する確率が低いこと,また,損失局面でリスク愛好的に意思決定する人もまた受診する確率が低いことが分かった.さらに,追加分析によって,乳がんに関わる選択の結果を利得局面で認識する人と損失局面で認識する人の両方が存在する可能性を示した.

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© 2017 行動経済学会
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