抄録
異物症の取り扱いは,気管食道科医にとって最も重要な分野である。異物除去の歴史は人の歴史である。すべての異物症にはそれぞれのエピソードがある。若いお母さんたちは子どもの異物症が大変危険なことは十分承知している。それゆえに,すべての母親は子どもが石をくわえると,慌てて叫んでしまう。驚いた子どもはしばしば異物を吸引する。すべての施設は異物症に対し責任ある最高のトレーニングと経験を積んだチームを作るだけでなく,異物に関する広報も行うべきである。異物症は子どもだけでなく大人も起こす。5歳以下が約80%,3歳以下が70%である。男の子のほうが女の子よりも2倍多い。国によって異物症はその種類,摘出法はさまざまである。日本,米国,ヨーロッパではピーナッツが多いが,エジプトではスイカの種,ギリシャでは乾いたカボチャの種である。異物による消化管穿孔例は過去3年間にわが国では150例を超える報告がある。われわれ気管食道科医は,異物が喉に引っかかるだけでなく,すべての消化管での停滞に注意しなければならない。