日本気管食道科学会会報
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原著
当科での下咽頭喉頭全摘術後に遊離空腸にて再建した進行下咽頭癌の治療成績
西村 俊郎山田 和宏三輪 高喜古川 仭
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ジャーナル 認証あり

2004 年 55 巻 3 号 p. 253-257

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抄録
当科では未治療の進行下咽頭癌(III期,IV期)には遊離空腸移植を伴った根治術を施行しておりその結果を分析して生存率に影響を与える因子について検討した。調査は過去のカルテを参照して行った。1988年1月から2000年12月までに初回治療をうけた35例を検討対象とした。全例において全周性の下咽頭喉頭全摘術と遊離空腸移植が行われていた。生存率はカプラン・マイヤー法にて求め,特異的な因子によって各群についてログランク試験にて生存曲線を比較した。また生存率に関連する因子をコックスの比例ハザードモデルで検討した。
全体の粗生存率は32.9%で病因特異的生存率は36.2%であった。T因子の小さいものほど(T2),T因子の大きなものより(T3,T4)生存率が有意に良好であった(p=0.025)。全周性の下咽頭喉頭全摘術と遊離空腸移植は根治性の最も高い治療法のひとつであるが,進行癌での成績は必ずしも良好とはいえない。現在では化学放射線治療が第一選択となりつつあるので,将来は本治療法との比較検討が必要である。
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