日本気管食道科学会会報
Online ISSN : 1880-6848
Print ISSN : 0029-0645
ISSN-L : 0029-0645
原著
Fluorescence in Situ Hybridization法による気管支洗浄液中の肺癌細胞検出
阿吾提 伊地力斯中村 治彦尼亜孜 買地尼也提田口 雅彦川崎 徳仁大平 達夫加藤 治文
著者情報
ジャーナル 認証あり

2005 年 56 巻 6 号 p. 470-475

詳細
抄録

肺癌の確定診断において細胞診の果たす役割は大きいが, 癌細胞の形態的診断には熟練を要するため, 何らかの客観的判定法が有用と考えられる。肺癌細胞では染色体の数的異常が頻繁に認められることから, 細胞分裂間期核の染色体の数的異常をfluorescence in situ hybridization (FISH) 法で解析することで悪性細胞の同定が可能となる。当院で確定診断を目的として気管支洗浄細胞診検査を受けた肺癌10例について, 採取細胞の3番および17番染色体の数的異常を解析し, 細胞診の結果と比較した。細胞診, 染色体解析ともに6例が陽性と判定されたが, 前者が偽陰性で後者が陽性であった例と, その逆が各1例存在した。両者ともに偽陰性は2例あった。肺癌細胞診における悪性細胞検出の客観的指標としてFISHは有用であり, 従来の細胞診の補完的役割を担うことができると考えられた。

著者関連情報
© 2005 特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top