日本気管食道科学会会報
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原著
化学放射線同時併用療法を行った中・下咽頭癌に生じた嚥下障害の検討
喜友名 朝則長谷川 昌宏比嘉 麻乃新濱 明彦鈴木 幹男
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2010 年 61 巻 3 号 p. 291-298

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抄録
2005年1月から2008年10月の3年10カ月間に当科を受診した未治療中・下咽頭癌症例のうち,化学放射線同時併用療法 (以下CCRT) を行った40例に生じた粘膜炎,嚥下障害の経時的観察を行った。CCRT開始後粘膜炎,嚥下機能はともに悪化し,CCRT終了時に最も悪化した。粘膜炎はCCRT後6カ月で治療前と差がなくなったが,嚥下状態はCCRT後6カ月でも治療前よりも有意に悪化していた。CCRT後6カ月の時点で3例でGrade3以上の嚥下障害を認めたが,その他の症例では治療前と同等の嚥下状態に回復した。臓器温存が達成できた症例でも遷延する嚥下障害をきたす症例があることを認識し,患者への十分な説明を行った上で治療法を選択する必要があると考えられた。また,CCRT後に計画的頸部郭清術を行った症例では嚥下障害が残存しやすい結果であったが,頸部郭清術が直接的に長期的な嚥下障害をもたらす可能性についてはさらに検討が必要と考えられた。
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