日本気管食道科学会会報
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原著
術者単独で施行する外来日帰り局所麻酔下喉頭内視鏡下手術
中村 一博渡邊 雄介許斐 氏元駒澤 大吾吉田 知之鈴木 衞
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2010 年 61 巻 5 号 p. 445-451

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抄録
喉頭疾患における標準術式は全身麻酔下喉頭微細手術 (LMS) である。LMSは術者単独で施行可能であるが全身麻酔で入院が必要なことが多い。局所麻酔下喉頭内視鏡下手術 (LVES) は外来日帰りで施行可能であるが,諸家の報告によると術者と助手を必要とし単独では困難であり,使用器具も特注のものが必要とされている。今回われわれは,LVESを術者単独で,必要最小限の器具で施行する工夫をした。その工夫について報告する。
症例は,2007年1月から2009年6月までに国際医療福祉大学三田病院において,LVESを施行した50例である。同時期のLMSは329例であった。LMSを選択しなかった理由は,全身麻酔不可,入院拒否などであった。
手術はまず局所麻酔から開始した。2%塩酸リドカイン (キシロカインビスカス®) を5 ml口腔内に含ませ咽頭を麻酔した。患者自身に舌を引かせ経鼻内視鏡下に喉頭を観察しながら4%塩酸リドカイン (キシロカイン液®) を注入した。十分に麻酔を行った後,術者は左手に内視鏡,右手にフレンケル式喉頭鉗子を持ち,手術を施行した。
手術が中断した症例はなく完遂率は100%であった。合併症はリドカインショック,一過性脳虚血,呼吸苦が各1例ずつであった。
LVESは工夫によって術者単独で最小限の器具で施行可能な手術手技であった。
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