日本気管食道科学会会報
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症例
嚥下障害のみを呈した延髄外側梗塞の1例
齋藤 大輔渡邊 健一天野 雅紀中目 亜矢子及川 伸一橋本 省
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2017 年 68 巻 3 号 p. 249-253

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抄録

延髄外側に梗塞をきたした場合,延髄外側症候群あるいはWallenberg症候群といわれる多彩で複雑な病態を呈することが多く,単一の症状で発症する例は非常に稀であり,診断に苦慮することがある。今回われわれは嚥下障害のみで発症した延髄梗塞を経験した。症例は66歳男性,突然の嚥下困難を発症し4日目に当院を受診した。口腔咽頭所見では泡沫状唾液貯留,喉頭流入を認めるも,反回神経麻痺は認めず。頭頸胸部CTでは異常所見を認めなかった。入院3日目に脳MRIを撮影し延髄右外側梗塞の診断となった。病巣部位は疑核とCPG (中枢パターン形成器) を含む狭い範囲であり,このため嚥下障害のみを呈したものと考えられた。

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