日本気管食道科学会会報
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症例
経鼻・経食道的ドレナージが有効であった食道肺瘻を呈した進行食道癌の1例
曽根田 亘菊池 寛利川田 三四郎廣津 周松本 知拓平松 良浩神谷 欣志竹内 裕也
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2020 年 71 巻 6 号 p. 421-425

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抄録

進行食道癌による食道肺瘻は,肺膿瘍形成や呼吸状態の悪化をもたらし,姑息的治療が行われることが多い予後不良な病態である。われわれは,食道肺瘻を合併した胸部食道癌の症例を経験したので報告する。症例は胸部食道癌の治療前に食道肺瘻による肺膿瘍と診断された。抗菌薬投与に加え,経鼻胃管を経瘻孔的に膿瘍内に留置し,膿瘍腔の縮小と炎症反応の改善を得た後に,化学療法および化学放射線療法を施行した。治療後も腫瘍は残存し切除も困難であったが,食道肺瘻に伴う発熱や炎症反応の再燃,呼吸器症状などを認めなかった。食道肺瘻は予後不良であるが,全身状態管理のうえ化学放射線療法が奏効した場合には根治切除が可能となる場合もある。食道肺瘻症例では病態と全身状態の正確な評価に基づいた治療戦略の構築が重要である。

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