日本気管食道科学会会報
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症例
一側反回神経麻痺を呈した食道癌症例
─ 一過性伝導障害に関する考察
岩下 栞菜, 福田 裕次郎, 田所 宏章, 原 浩貴
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2023 年 74 巻 6 号 p. 403-408

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抄録

一側反回神経麻痺の原因として術後性,特発性,腫瘍疾患の3つが多いとされている。腫瘍による反回神経への浸潤が認められる場合,神経麻痺が改善する確率は低い。今回食道癌に対する化学療法によって反回神経麻痺が改善した症例を経験した。症例は65歳男性で,進行食道癌cT4bN2M1,cStageIVbに対して当院の臨床腫瘍科にてCDDP+5-FUを施行されていた。治療開始時より認めていた嗄声が増悪したため,精査目的に当科紹介となった。喉頭内視鏡検査で弧状変化を伴う左声帯麻痺を認め,CT検査で胸部上部食道に原発巣と多発リンパ節転移,肺転移を認めた。その後病態が増悪したためNivolumabにレジメン変更となった。治療開始から205日目に施行した喉頭内視鏡検査にて左声帯麻痺の改善がみられた。一般に悪性腫瘍の場合は,腫瘍による神経への直接浸潤や手術時の合併切除により,神経温存そのものが困難となり,反回神経麻痺の改善は期待できない。しかしながら末梢神経障害のうち,Neurapraxia(一過性伝導障害)の場合,神経障害は完全回復するとされている。本症例では病変による神経圧迫によりNeurapraxiaを生じ,化学療法により病変が縮小したことによって,反回神経麻痺が改善したと考えた。

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