神経変性疾患患者や重症心身障害児(者)は,繰り返す誤嚥性肺炎のため気管カニューレ管理となることが多い。長期間の気管カニューレ留置は合併症のリスクが高くなることや,介護者の頻回な吸引処置が必要となることから,施設入所や在宅医療導入が困難となる。声門閉鎖術は肺炎の回避と吸痰の軽減ができ,カニューレからの離脱が望める有用な手技である。当科にて2015年4月から2022年3月までの7年間に施行した鹿野式声門閉鎖術の18例について有用性や安全性を検討した。術後経過不明1例を除いた呼吸器管理をされていないカニューレ使用患者6例中6例(100%)にカニューレの離脱が可能であり,術後合併症は声門閉鎖部の瘻孔形成1例のみであった。また,術前に経口摂取不可であった5例中3例で術後に経口摂取が可能となり,代替栄養から離脱して経口摂取可能となる症例も認められた。介護者に行ったアンケート調査ではほとんどの症例で吸痰回数が減少し,75%が手術の結果に満足しているとの結果を得た。鹿野式声門閉鎖術は重度の誤嚥性肺炎を繰り返す患者に対して,術後合併症が少なく安全で,カニューレフリーが達成できる術式として有用と考えられた。