2012 年 14 巻 1 号 p. 1-12
本研究では,看護事故の大きな要因である看護師のストレスという感情面に着目し,数理モデル理論に基づき,ヒヤリハット事例について解析することで,看護事故を未然に防ぐ試みを行った.看護学と工学の立場から,看護師の「感情」を媒介変数として,マッピングのための変換マトリックスの要素をsigmoid曲線に類似した非線形関数をベースにして,その関数に重み付けを与えるという,2重構造の4次元マトリクスをもって定義した.その上で,それらの重みや関数のパラメータをシミュレーション実験を通じて模索研究し,現実的にも意味のある関数を見出し,ヒヤリハット事例の解析を行った.その結果,大雑把な関数設定を用いても看護事故を未然に防ぐためのシステムを構築しうる可能性があることがわかった.