抄録
デジタルサイネージを利用した販売促進戦略に関する検討は従来から数多く行われている.売上の期待値の最大化はデジタルサイネージを利用した販売促進戦略における重要な検討課題の1 つである.従来研究では,性別や年齢層等の固定的な属性を示す顧客クラスが未知の1 人の顧客の期待売上の最大化のみ検討されており,顧客が複数いる場合の期待売上の最大化は未検討である.本研究では,統計的決定理論に基づいて複数の顧客の期待売上を最大化する新しい販売促進戦略を提案する.提案方法では,ベイズ基準のもとで期待売上を最大化する.提案方法の有効性を数値計算例で検証する.提案方法の期待売上は比較対象の期待売上よりも大きい傾向が確認された.本研究では,すべての確率が既知という仮定のもとで,期待売上を最大化する.しかし,実際には各種確率は未知の場合が多い.各種確率が未知の場合への本研究の拡張は今後の課題の1 つである.