抄録
生活習慣病診断は従来の健康診断の生活習慣項目を診断するのであり、現在この診断は専門医以外の医師が診断を下す場合が多い。専門外の医師が診断を下す上で、多くの検査データから生活習慣の改善示唆を下すことは難しい問題である。また受診者はアルファベット表記の検査結果を渡されることが多く、十分理解できないため動揺をきたす。本論文は、生活習慣病に起因する各検査項目の異常度を導き的確な生活習慣の改善内容を示唆できる診断支援システムの構築を提案する。生活習慣病という呼称を用いた健診は数年前からしか行われておらず生活習慣項目による経年変化のデータも少ない。したがって、現時点での完全な支援システムの構築は困難であるため、本論文では生活習慣の構築手法に重点をおいて行った。本システムは、知識部と推論部から成る。知識部は各検査項目を男女別、年代別に分けて専門医の知識に基づいて構築する。推論部は専門医(人間)の知識を導入しやすく、出力も専門医や受診者にも理解しやすい出力が可能なファジィ理論(ファジィ測度、ショケ積分、ファジィ論理)を用いて構築する。本システムでの実行結果は人間に理解しやすくまた的確な生活習慣の改善示唆が可能な出力が得られた。