2024 年 50 巻 2 号 p. 55-60
【症例】68歳,女性.
【既往歴】糖尿病
【現症】火炎により受傷.顔面,頸部,胸部,左上肢にⅢ度熱傷約15%TBSAを認めた.
【経過】入院6日目と20日目にデブリードマン,2回目のデブリードマン時に両大腿からの分層植皮術を施行した.術後,植皮部と採皮部ともに緑色の汚染を認めたため洗浄と抗菌作用のある外用剤・被覆材での処置および抗菌薬の全身投与を行ったが,植皮部,採皮部に緑色の壊死組織の出現を認めた.植皮後11日目(入院31日目),敗血症性ショックとしてICU入室となった.その後もデブリードマンを繰り返したが,採皮部の壊死は深筋膜上までいたった.植皮後35日目(入院55日目)に多臓器不全で死亡した.
【考察】採皮部への感染経路には熱傷部からの接触やburn wound sepsisによる血行性の伝播,catheter-related sepsisが疑われた.感染源となる壊死組織を早期にデブリードマンする必要があると思われる.また採皮部の感染と深部まで壊死を認めた場合は,熱傷部位と同じく十分なデブリードマンが必要と考える.