熱傷
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最新号
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原著
  • 篠原 嶺, 荒木 孝太郎, 垣田 一歩, 林 櫻, 松岡 孝
    2026 年52 巻1 号 p. 1-6
    発行日: 2026/03/15
    公開日: 2026/03/15
    ジャーナル 認証あり

     近年, 日本国内におけるウォーターサーバーの世帯普及率は年々増加している. 一方, 小児熱傷の原因としての報告は散見されるものの, 臨床的特徴を統計的にまとめた報告は限られている. 本研究では, 2020年1月から2025年5月までに沖縄県立南部医療センター・こども医療センターの救急外来を受診したウォーターサーバーによる熱傷症例を対象に後方視的検討を行った. また, 当院における1年間の小児熱傷全例との比較も行った. 対象は86例で, 男児が45例 (52%), 女児が41例(48%)であった. 受傷時年齢の中央値は14.5ヵ月であり, 2歳未満が全体の84%を占めた. 受傷部位は全例で上半身に認められ, 下腿にまで及んだ症例は1例のみであった. Ⅱ度熱傷が76%であり, 受傷面積の中央値は1.25%, burn indexの中央値は0.5であった. 入院を要した症例は3例で, そのうち2例は小児集中治療室で加療を行った. 後遺症として瘢痕や色素沈着を10例 (12%)に認めたが, 外科的治療を要した症例はなかった. 小児熱傷全体と比較して, ウォーターサーバー熱傷は低月齢 (p<0.001), 高頻度の上肢の受傷 (p=0.002)を示した. ウォーターサーバー熱傷を含む小児事故の背景には, 発達段階に対する養育者の認識不足や安全環境の不備が関与する可能性が高い. ウォーターサーバーは利便性の高さから今後も普及拡大が見込まれるため, 医療機関および地域における予防啓発活動の強化が重要である.

  • 牧野 夏子, 藤川 千穂, 村中 沙織, 野中 雅人
    2026 年52 巻1 号 p. 7-17
    発行日: 2026/03/15
    公開日: 2026/03/15
    ジャーナル 認証あり

     本研究の目的は, 熱傷急性期において看護師が実施する熱傷創処置の援助に関する実態について明らかにすることである. 対象は, 日本熱傷学会熱傷専門医認定研修施設かつ厚生労働省の全国救命救急センターの認定を受けている58施設の救命救急センターに勤務し, 経験年数3年以上の看護師116名である. 基本属性, 熱傷創処置に関する看護援助で構成した無記名自記式質問票によるWEB調査を実施した. 分析は, 記述統計とテキストマイニングを実施した. テキストマイニングは, 研究参加者の記述から熱傷急性期において看護師が実施する熱傷創処置前, 熱傷創処置中, 熱傷創処置後の援助を文脈単位として抜粋し, コードを生成したのち, ①上位頻出語, ②共起ネットワーク分析を実施した.結果, 45名から回答を得た.①上位頻出語では, 熱傷創処置前の看護援助は「準備」50件が最も多く, ついで「処置」35件, 熱傷創処置中の看護援助は, 「処置」28件が最も多く, ついで「観察」26件, 熱傷創処置後の看護援助は, 「確認」が33件と最も多く, ついで「処置」30件であった. ②共起ネットワーク分析では, 熱傷創処置前の看護援助11カテゴリー, 熱傷創処置中の看護援助9カテゴリー, 熱傷創処置後の看護援助8カテゴリーが生成された.熱傷創処置 (前・中・後) 全体を通して共通していた看護援助は, 疼痛管理, 処置の準備・介助, 体位調整であった. また, 熱傷創処置 ( 前・中・後) 各時期の看護援助の特徴として, 熱傷創処置前は【体温低下をふまえた室温管理】と【患者への事前説明】, 熱傷創処置中は【患者への声掛け】, 【バイタルサインの変動のチェック】, 【体温管理予防をふまえた包交時間管理】, 熱傷創処置後は【バイタルサイン変化と患者状態の観察】, 【感染対策】, 【出血によるガーゼ汚染】が示された. 熱傷創処置の看護援助は, 皮膚組織の損傷の程度に留意し熱傷創処置前・中・後で一貫して関与しながら, 体温や疼痛, 感染, 患者の不安への対応などを体系的に実施していることが明らかとなった.

症例報告
看護
  • 石井 優子, 村中 沙織, 牧野 夏子, 奥山 亜由子
    2026 年52 巻1 号 p. 36-45
    発行日: 2026/03/15
    公開日: 2026/03/15
    ジャーナル 認証あり

     本研究の目的は, 熱傷患者に対する看護師の退院支援に関する実態を明らかにすることである. 2023年1月~4月, 日本熱傷学会熱傷専門医認定研修施設104施設に勤務する病棟看護師520名を対象に, 個人属性, 退院支援に関する研修受講状況や経験に関する項目, 熱傷患者の退院支援の実際, 熱傷患者の退院支援の困難, について先行文献等を基に独自に作成したWeb調査を実施した. 分析は, 量的項目は記述統計値を算出し, 自由記述は質的記述的分析を行った.
     99名より回答 (回収率19.0%) を得た. 対象者の背景は, 女性82名 (82.8%), 平均年齢38歳, 看護師経験平均年数は12.2±7.6年, 熱傷患者に対する看護経験平均年数は6.1±3.7年であった. 熱傷患者の退院支援について, 75.8%が興味・関心があると回答したが, 退院支援に関する院内研修の参加を積極的に希望する者は半数に満たなかった. さらに退院後の在宅訪問や退院前訪問の経験は3%程度であった. 退院支援の実施方法は, 口頭説明が72.7%と最も多く, 支援内容が標準化されていない現状が明らかとなった. 退院支援内容は創処置が87.9%と最も多く, ついで薬剤の使用や日常生活動作に関する内容であり, 日常的に必要とされるものであった. 熱傷患者の退院支援の困難は, 整容面のケアが65.7%と最も多く, その他, 社会復帰や経済支援など, 在宅移行後に生じる問題であった. 熱傷患者に対する看護師の退院支援に関する実態として, 在宅生活移行後に生じる問題への支援の充実, 必要資源との連携が課題であり, 熱傷患者の個別性を考慮したニーズに沿った退院支援を検討する必要性が示された.

コンセンサスステートメント
  • 松村 一, 上田 敬博, 小川 令, 海田 賢彦, 櫻井 裕之, 佐々木 淳一, 副島 一孝
    2026 年52 巻1 号 p. 46-57
    発行日: 2026/03/15
    公開日: 2026/03/15
    ジャーナル 認証あり

     【背景】酵素的デブリードマン製剤であるネキソブリッド® (NexoBrid®, 以下NXB) が2022年に本邦で承認され, 熱傷治療の新たな選択肢として広く使用されている. 同製剤は外用剤であり, 健常組織に傷害を与えない特徴を有するため, 外科的デブリードマンよりも容易に使用可能であるが, その治療効果を最大限に発揮するためには適応症例の選択や適切な使用方法を理解し実行する必要がある. 本邦よりも早く承認された海外ではコンセンサスドキュメントが複数報告されているが, 使用できるデバイスや医薬品に違いがあるため, すべてを本邦の熱傷治療に当てはめることはむずかしい. そのため, 本邦独自のコンセンサスドキュメントが必要と考え, 今回作成した.
      【方法】コンセンサス委員は熱傷治療の豊富な経験と専門知識およびNXBの臨床経験を有する本邦の熱傷専門医7名(形成外科医4名, 救急医3名)で構成した. デルファイ法を用いてアンケートを行い, 合意形成を行った. 各ステートメントに対し, 80%以上の委員が同意した場合に合意と定義した.
     【結果】27個のステートメントが設定され, 第1ラウンドでは20個(74.1%), 第2ラウンドでは21個が合意にいたった(合意率77.8%). ステートメントはその属性から適応, 疼痛管理, 適用タイミング, 適用時のテクニック, 適用後の創管理, 植皮, 瘢痕(整容性)の7つに分類された.
     【結論】本コンセンサスドキュメントは, 本邦の熱傷治療の経験が豊富な形成外科医と救急医の意見および国内外のエビデンスを統合したものである. NXBの有効性や安全性, 留意点に関する推奨事項を示しているため, NXBを用いた熱傷治療の質向上に貢献することが期待される. 本コンセンサスドキュメントの推奨事項は不変ではなく, 使用経験の増加や新しいエビデンスが得られしだい更新する必要がある.

地方会抄録
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