Journal of Computer Aided Chemistry
Online ISSN : 1345-8647
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Kohonenネットワークと3wayPLS法を用いた新しい3D-QSAR手法の開発
松岡 成郎長谷川 清荒川 正幹船津 公人
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2000 年 1 巻 p. 22-34

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抄録
CoMFA(Comparative molecular field analysis)法は、定量的な三次元構造活性相関(3D-QSAR(Quantitative Strucure Activity Relationship))を研究するための代表的な手法である。この手法は、分子の三次元形状を直接データに反映させる事が可能であり、薬物設計で広く利用されている手法である。  CoMFA法では、対象とする分子周辺の立体的、静電的相互作用を記述子としてモデリングが行われる。これら分子相互作用は、分子からの距離によって大きさが異なるものであり、CoMFA法では、分子周辺にあらかじめ定められた全ての格子点で相互作用エネルギーが計算される。  しかし、それらの中でも、最も重要な部分であるvan der Waals表面上における分子相互作用のみを用いることができれば、より効率的にモデリングが行える。そこで、本研究では、分子のvan der Waals表面上の静電的相互作用のみに注目した。その後、ニューラルネットワーク手法の一種であるKohonenネットワークを用いることにより、この分子の三次元的な構造情報を二次元の情報として表すことを考えた。そして、それらと活性値との相関を、3wayPLS(Partial Least Squares)法を使用して解析を行うという3D-QSAR手法を開発した。  実際に本手法により、ドーパミンD2レセプター拮抗剤25種に関して、活性に寄与している領域を特定することを試みた。その後、D-optimal designsを使用して、一群の化合物データを、トレーニングデータとテストデータに分け、トレーニングデータを用いてモデリングを行い、モデルを用いたテストデータの予測を行った。また、従来からのモデリング手法であるPLS法による解析も行った。その結果、Kohonenネットワークを用いることで、分子表面上の三次元の特徴を二次元の特徴に表すことができ、両手法ともに静電的相互作用と活性の関係を反映したモデルが得られた。そして、係数をvan der Waals表面に図示したところ、従来の研究で得られた傾向と合致する結果が得られ、拮抗剤の特徴がモデルに反映されている事が示された。さらに、両手法を比較すると、PLS法と比べて3wayPLS法による結果の方が活性に寄与している領域を特定することに関しても、予測能力に関しても良好な結果であった
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© 2000 日本化学会
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