抄録
現在、ポリマーは多種多様な製品の材料として幅広い用途で利用されている。ポリマーの開発においては、それぞれの用途に応じた設計を行うことが必要であるが、用途によって要求される物性は異なるため、効率的なポリマー設計の手法が求められている。そこで本研究では、物性推算モデルの構築とその逆解析により、要求される物性を実現するポリマーを設計するための方法を提案した。単重合ポリマーデータに対して、原子団寄与法とRDF記述子を用いて予測的な物性推算モデルを構築した。また、ランダム共重合ポリエステルデータに対して、組成や原子団寄与法による物性推算モデルを構築し、モデルの逆解析を通じて複数物性の同時最適化を行った。さらに、既存モノマーの組成検討だけではなく、新規モノマーの構造生成によるポリマー設計手法の提案を行った。いずれの解析においても良好な結果が得られ、情報化学的手法によるポリマー設計の可能性が示された。