Journal of Computer Aided Chemistry
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ステレオへテロトピックな関係ではなくRS-ジアステレオトピックな関係により決定したpro-R/pro-S-記述子
藤田 眞作
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2009 年 10 巻 p. 76-95

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抄録

プロ-R/プロ-S法を、プロ-RS-ステレオジェニシティーを用いて再定義した。この新しい方法では、ステレオイソグラムを描くことにより、RS-ジアステレオトピックな関係にある二つのリガンドを対にして、pro-R- および pro-S-記述子を与える。ステレオイソグラムを拡張して、RS-ジアステレオトピックな関係を判断できるようにする対称基準を開発した。従来のpro-R/pro-S-記述子の定義には、もともとの「プロキラリティー」(エナンチオトピックおよびジアステレオトピックな関係)によるものと「プロステレオジェニシティー」(ステレオへテロトピックな関係)による改訂版があるが、これらの定義を(定義に用いたエナンチオトピック以外の術語も)すべて捨て去る。新しい定義では、エナンチオトピックな関係および等価なエナンチオスフェレックな同値類に基づくようにプロキラリティーの定義を変更することにより(S. Fujita, Symmetry and Combinatorial Enumeration in Chemistry, Springer-Verlag, Berlin-Heidelberg (1991))、プロキラリティーを純粋に幾何学的な意味に用いる。分子内の環境を記述するのに用いるプロ-RS-ステレオジェニシティーおよびプロキラリティーは、分子間のRS-ステレオジェニシティーおよびキラリティーに対応することを明らかにする。 分子間で立体異性と幾何学的特性とを調和させたこと (S. Fujita, J. Org. Chem., 69, 3158-3165(2004); J. Comput. Aided Chem., 10, 16-29 (2009)) に対応して、分子内でも同様な観点を導入する。分子内でのプロ-RS-ステレオジェニシティーおよびプロキラリティーの調和のため、pro-R/pro-S-記述子のキラリティー忠実性について論じた。

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© 2009 日本化学会
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