Journal of Computer Aided Chemistry
Online ISSN : 1345-8647
N-N二座配位パラジウム(II)を用いたHeck反応の触媒サイクルと配位子効果に関する理論的研究
眞田 昭平黒田 隆明隅本 倫徳堀 憲次
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16 巻 (2015) p. 30-38

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抄録

Pd 触媒を用いたHeck反応は、有機合成や有機金属化学において最も広く用いられている、重要な反応の一つである。触媒として用いられるPd 錯体の配位子は、反応性に影響するため、その探索は重要な研究課題の一つである。本研究では、密度汎関数理論(DFT)計算を用いて新たに合成された2-(2'-ピリジル)ベンゾアゾール, L を配位子に持つPd錯体を触媒としたHeck反応の反応機構の解析を行った。計算結果より、活性種は反応基質のエチレンとPh-Brから生成するPd(Ph)(Br)(L)であることがわかった。生成した活性種から始まる触媒サイクルは、(1)エチレン配位、(2)エチレン挿入反応、 (3) β-H引き抜き反応、(4)スチレンの脱離、 (5) Ph-Br配位、(6)H-Brの脱離反応、(7) Ph-Brの酸化的付加反応の7つの素反応過程から構成される。律速段階はPh-Brの酸化的付加反応であり、その活性化自由エネルギーは30 ~ 32 kcal/mol程度と計算された。これらの結果より、この触媒サイクルは、PdII/PdIV ではなく、Pd0/PdII で進むことが明らかとなった。

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© 2015 日本化学会
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