抄録
CoMFA法をはじめとする多くの3D-QSAR手法では、モデリングの前処理として分子構造の重ね合わせが必要である。適切な重ね合わせを行うことは、解析を成功させるための重要な因子であるため種々の重ね合わせ手法が提案されている。著者らもHopfield Neural Networkを用いた新しい分子重ね合わせ手法を提案している [M. Arakawa, K. Hasegawa, K. Funatsu, Journal of Computer Aided Chemistry, 2, 29-36 (2001)]。本論文ではこの手法の応用例として、骨格の異なる3つの化合物シリーズからなるCyclooxygenase-2 (COX-2)阻害剤の3D-QSAR解析の結果を示す。COX-2阻害剤54化合物について、HNNを用いた重ね合わせを行った後、CoMFAによるモデリングを行った結果、R²=0.922、Q²=0.653の良好なPLSモデルが得られた。回帰係数の等高線図についての考察およびX線結晶構造との比較検討を行いこのモデルが妥当であるとの結論を得た。