Journal of Computer Aided Chemistry
Online ISSN : 1345-8647
ISSN-L : 1345-8647
3 巻
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  • 貝原 巳樹雄, 佐藤 寿克, 高橋 信幸, 高橋 正幸
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: ケモメトリックス及びそのソフトウエア
    2002 年 3 巻 p. 1-7
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/01/25
    ジャーナル フリー
    化学工業原料や燃料として利用されている石炭の品質は、元素分析、工業分析、組織分析など多種多様なパラメーターによって評価されています。したがって、石炭の全体のイメージを理解することが却って困難な状況となっています。また、いくつかのパラメーターが高い相関性を持っていることは既に知られています。そこで、主成分分析により情報を要約、整理した結果、元素分析値(炭素、硫黄)が最も重要なパラメーターであることを再確認しました。さらに、主な軸の意味を考察するとともに、分類と回帰の二進木モデル(CART)を用いて、セグメントに分割し、炭素、硫黄含量を軸とする新たな分類法を提案しました。次に、石炭のパラメーターの中でも、その測定に時間と労力を要する組織分析について、元素分析からの推定方法をCARTにより検討し、最も誤差率の小さかった不活性分(IN)について、簡単な規則を導くことができました。また、CARTにより不活性分を予測する際に、最も重要なパラメーターと指摘されたH/Cと不活性分をプロットし、石炭産地について帯状の分類ができることを見出しました。このうち、豪州炭と南アフリカ炭は同一グループに帰属しており、両者が石炭紀において隣接していたことを示唆する傍証となるものと考えられます。
  • 太刀川 達也, 時田 澄男, 染川 賢一
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 理論化学
    2002 年 3 巻 p. 8-14
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/02/02
    ジャーナル フリー
    酸を添加することによりエンド酸素が脱離し着色するベンゾ[1,2,3-kl:4,5,6-k’l’]ジキサンテンエンドペルオキシド(1a)とその窒素類縁体(1b)またはイオウ類縁体(1c)について,AM1分子軌道法計算によりプロトンとの反応性,および,色素骨格の周辺部に位置するヘテロ原子の違いが脱酸素反応に与える影響について検討した.まず、酸素類縁体(1a)については,エンド酸素のプロトン親和性が色素部位の酸素のプロトンの親和性に比べて大きく,エンド酸素へのプロトン化によって生成する中間体 4a を経て色素体に分解することが推定された.しかし,その反応が実験的に遅いことから、色素部位のヘテロ原子を硫黄や窒素に換えることによる効果をシミュレートした.色素部位のプロトン親和性は大きくなり、また、そのヘテロ原子にプロトンが付くことにより,酸素の脱離反応の活性化エネルギーが軽減され,酸素の脱離がおこり易くなることが計算により示唆された.一方、特に窒素のとき、4 を経由するエンド酸素へのプロトン化反応が有利であった.これらのことにより周辺部のヘテロ原子を酸素から窒素や硫黄に変換することにより,エンドペルオキシドの酸との着色反応を促進できると期待できる.酸をトリガーとする新しい機能性色素を見出す指導原理になると考えられる.
  • QEq-CS理論によるIPCE傾向の推算
    小川 哲司, 石川 善洋, 北尾 修, 田中 成典, 温 慶茹, 大友 順一郎, 高橋 宏, 荒川 裕則
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 理論化学
    2002 年 3 巻 p. 15-36
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/02/02
    ジャーナル フリー
    色素増感型太陽電池のIPCE(Incident Photon-to-Current Conversion Efficiency)傾向を推算する理論を構築し、計算手法を確立した。電子移動速度は電子移動前後の活性化因子と移動積分から構成され、これらをQEq-CS (Charge Equilibration for Charge Separation)法に基づいて推算し、その結果からIPCE傾向を整理する。9-phenyl xanthene系色素増感型太陽電池の実験 (Sayama et al. Chem.Lett., 753 (1998))を対象とし、色素から半導体への電子移動 (Step 1)、溶液中のヨウ素酸化還元対から酸化された色素への電子移動 (Step 2)、励起された色素から半導体への電子移動 (Step 1’)に関し静電エネルギー変化を計算、自由エネルギー変化を推定し、各Stepに関する再配向エネルギーの推定値と併せて、Step 1’とStep 2の活性化因子を計算した。その結果、色素増感型太陽電池のIPCE傾向はStep 1’の活性化因子の比較から大よその整理がつくことを明らかにした。
  • 田中 伸也, 藤田 眞作
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 化学情報学
    2002 年 3 巻 p. 37-47
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/02/20
    ジャーナル フリー
    インターネット上で化学構造式を伝達するための構造式描画システムとしてXyMJavaを開発した.これは,線形表現のXyM記法を入力言語としており,Javaアプレットとして実装されたシステムである.このシステムでは,XyM記法の解析段階で,オブジェクト指向技術,とくにデザインパターンの技術を応用している.さらに,構造式情報をカプセル化して画像表示するために,新たに考案した「化学モデル」を採用している.この結果,XyM記法をHTML文書の中に記入することによって,化学構造式をインターネットブラウザーで表示することが可能になった.
  • 佐藤 寛子, 越野 広雪, 中田 忠
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 化学情報学
    2002 年 3 巻 p. 48-55
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/03/09
    ジャーナル フリー
    立体化学の類似と相違の正確な認識のための拡張CAST (CAnonical-representation of STereochemistry)コードについて述べる.拡張CASTコードによって,特定部位周りの平面/立体配置/立体配座構造の構造環境を正確に考慮した検索が可能となった.D-xylose, D-ribose, D-arabinose, and D-lyxoseの4種のaldopentoseについて拡張CASTコード化法により立体化学の類似と相違を表現した.より複雑な分子構造についての応用例も併せて報告する.
  • 高木 達也, 黒川 絵美子, 宮田 幸治, 岡本 晃典, 田中 優子, 黒川 顕, 安永 照雄
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: ケモメトリックス及びそのソフトウエア
    2002 年 3 巻 p. 56-62
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/03/23
    ジャーナル フリー
    電子付録
    一般化加法モデル(GAM)は優れたノンパラメトリック回帰法の一つであるが、化学、薬学分野ではわずかな応用例しか知られていない.GAMは階層型ニューラルネットワーク法(ANN)と同様非線形問題に広く適用可能だと考えられるため、今回、GAMとANNを、人工データや実際の薬学データを用いて系統的な比較を試みた.その結果、GAMはANNとほぼ同様の、回帰、判別性能を持つことが示された.GAMは、視覚的に予測変数と応答変数間の関係を容易に補足できるなどのANNに比べて優れた点もあるため、薬学分野のデータに十分に適用可能であると考えられる.
  • 荒川 正幹, 長谷川 清, 船津 公人
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: ケモメトリックス及びそのソフトウエア
    2002 年 3 巻 p. 63-72
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/04/23
    ジャーナル フリー
    CoMFA法をはじめとする多くの3D-QSAR手法では、モデリングの前処理として分子構造の重ね合わせが必要である。適切な重ね合わせを行うことは、解析を成功させるための重要な因子であるため種々の重ね合わせ手法が提案されている。著者らもHopfield Neural Networkを用いた新しい分子重ね合わせ手法を提案している [M. Arakawa, K. Hasegawa, K. Funatsu, Journal of Computer Aided Chemistry, 2, 29-36 (2001)]。本論文ではこの手法の応用例として、骨格の異なる3つの化合物シリーズからなるCyclooxygenase-2 (COX-2)阻害剤の3D-QSAR解析の結果を示す。COX-2阻害剤54化合物について、HNNを用いた重ね合わせを行った後、CoMFAによるモデリングを行った結果、R²=0.922、Q²=0.653の良好なPLSモデルが得られた。回帰係数の等高線図についての考察およびX線結晶構造との比較検討を行いこのモデルが妥当であるとの結論を得た。
  • 盛岡 良雄
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 理論化学
    2002 年 3 巻 p. 73-80
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/07/18
    ジャーナル フリー
    液体表面の構造を俯瞰的に観察できるようにするため,カノニカル(NVT)集団によるモンテカルロ(MC)シミュレーションを試みた。新たに提案したDTMC (Dual Translation Monte Carlo) 法を用いれば,これまで実行の難しかった分子局在系についてもNVTMCが可能となる。バルク液相から表面分子への相互作用を近似するため固定床モデルを提出し,その有効性を確かめた。これは,吸着系への適用なども期待できる汎用的なモデルとなっている。さらに,シミュレーションの妥当性を各種物性値で直接検証できるようにするため,沸点と液体密度の実測値をもとに,実用的なLennard-Jones(LJ)パラメータを決定した。ArやKrなどの1原子分子について,蒸気圧の温度依存から推定された蒸発熱は実測値とよい一致を示した。
  • 田中 伸也, 石丸 勉, 藤田 眞作
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 化学情報学
    2002 年 3 巻 p. 81-89
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/07/30
    ジャーナル フリー
    XyMML (MyM Markup Language)に基づいて,化学構造式を画面表示し伝達するための道具を開発した.XyMML文書を,XML (Extensible Markup Language)の仕様に従って作成し,HTML (HyperText Markup Language)文書に変換する.このとき,XSLT (Extensible Stylesheet Language Transformations)に従った変換プログラムをあらたに開発して用いた.この過程で,XML文書の中のXyMMLデータは,XyM記法に変換され,HTML文書に埋め込まれる.これを,XyMJavaシステムを読み込んだWWWブラウザーにより閲覧する.そのほかに,同じXyMML文書からXyMTeX文書を作成するためのXSLTプログラムも開発した.生じたXyMTeX文書は,TeX/LaTeXの版下作成システムによって処理することにより,構造式を含んだ文書をプリントアウトすることができる.XyMMLおよび関連技術が,化学に関するWWW伝達,電子出版,および,従来型の出版を統合する核になる可能性を明らかにした.
  • 長谷川 清, 細田 武宏, 船津 公人
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: ケモメトリックス及びそのソフトウエア
    2002 年 3 巻 p. 90-98
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/07/30
    ジャーナル フリー
    バックプロパゲーションニューラルネットワーク(BNN: Back Propagation Neural Network)やカウンタープロパゲーションニューラルネットワーク(CNN: Counter Propagation Neural Network)を含む学習型ニューラルネットワークは、非線形データの解析に有効な手法であるが、変数が多い場合、未知化合物の活性予測が十分でない。また、モデルの解釈が難しくなり、活性化合物のデザインが難しい。したがって、モデルに寄与しない変数を効率よく除くことができれば、解釈が明瞭でかつ予測能力が高いモデルを得ることができる。膨大な変数組み合わせから有意な組み合わせを求める手法として、遺伝的アルゴリズム(GA: Genetic Algorithm)が開発され、これまで種々の構造活性データに応用されている。先の論文で、非線形関係をモデリングできるCNNと最適変数組み合わせを探索できるGAをリンクすることに成功し、フェニルアルキルアミンの幻覚作用データに適用した。本研究では、変数の数をさらに大きくしたステロイドデータに応用し、手法の有用性を調べた。まず、線形手法である部分最小2乗法(PLS: Partial Least Squares)を適用し、PLSにより十分モデリングできないことから、この構造―活性データが非線形データであることを示した。次に、全51変数でCNNモデルを構築し予測セットの活性値を予測したところ、実測値と大きくかけ離れた。次に、GAで変数選択をしたところ、変数は11変数まで減らすことができ、全変数を使った場合と比べて予測能力は飛躍的に向上した。最後に、選択された11変数の重みベクトルと活性の重みベクトルを色づけした2次元マップで比較することにより、各変数値の増減と活性との関係を視覚的に理解することができた。
  • - HER2阻害剤の解析 -
    荒川 正幹, 長谷川 清, 船津 公人
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: ケモメトリックス及びそのソフトウエア
    2002 年 3 巻 p. 99-106
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/08/23
    ジャーナル フリー
    CoMFA法をはじめとする多くの3D-QSAR手法において、対象とする分子構造を適切に重ね合わせることは、解析を成功させるための重要な因子であるため、種々の重ね合わせ手法が提案されている。著者らもHopfield Neural Network(HNN)を用いた新しい分子構造重ね合わせ手法を提案しており、COX-2阻害剤のCoMFA解析に適用し良好な結果を得ている[M. Arakawa, K. Hasegawa, K. Funatsu, Journal of Computer Aided Chemistry, 3, 63-72 (2002)]。本研究ではこの重ね合わせ手法のさらなる有用性を検証するため、human epidermal growth factor receptor-2 (HER2)阻害剤の3D-QSAR解析を行った。HER2阻害剤27化合物について、HNNによる重ね合わせを行い活性配座を推定した後、CoMFA法による3D-QSAR解析を行った結果、R²=0.805、Q²=0.701の良好なPLSモデルが得られた。また、その回帰係数の等高線図についての考察を行い、このモデルが妥当であるとの結論を得た。
  • 大野 英俊, 大石 勉, 鬼村 謙二郎, 堀 憲次
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 理論化学
    2002 年 3 巻 p. 107-116
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/08/29
    ジャーナル フリー
    光学活性ビスオキサゾリンとアルキルリチウムより調製した不斉触媒を用いて、N-置換マレイミドを重合すると、光学活性ポリマーが生成することが知られている。本研究では非経験的分子軌道法を用い、この不斉アニオン重合の反応機構の検討を行った。開始反応において、触媒の立体配置に基づく不斉誘起がなされるものの、成長反応では不斉触媒の立体配置に影響を受けず、開始反応の立体配置に基づき不斉重合が進行することがわかった。
  • 中山 伸一, 光貞 英一郎, Willett Peter, 吉田 政幸
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 化学情報学
    2002 年 3 巻 p. 117-123
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/10/18
    ジャーナル フリー
    前報では、アミノ酸残基をα炭素を中心とする剛球としてモデル化し、その剛球の重なり容積に基づく二つのタンパク質間の類似測度について提案した。そして、最大重なり容積を求めるのにバイナリコードを用いた遺伝アルゴリズムを使う方法を考え、その最適条件を見つけた。本論文では、これを改良した二次構造を考慮した剛球の重なりに基づく類似測度を提案し、バイナリおよびグレイコードを用いた遺伝アルゴリズムを使う方法を検討した。自己認識およびデータベース検索の面からの実験により、グレイコードを用いたビットクライミング法が、二次構造を考慮した剛球の最大重なり容積を求める妥当な方法であることを明らかにした。
  • 仙石 康雄, 栗田 典之, 関野 秀男
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 理論化学
    2002 年 3 巻 p. 124-132
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/10/25
    ジャーナル フリー
    大腸菌の転写活性因子OmpRファミリーのDNA結合部位の立体構造と電子状態を、半経験的 分子軌道計算により解析し、OmpRファミリーが有する共通な特徴を調べた。さらに、いくつかのアミノ酸を置換し、置換により立体構造と電子状態がどのような影響を受けるかを明らかにした。
  • 中西 陽子, 岩澤 まり子, 中山 伸一, 小野寺 夏生
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 化学情報学
    2002 年 3 巻 p. 133-142
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/10/29
    ジャーナル フリー
    医学分野における研究論文は、収録対象とする主題分野の異なる様々なデータベースに収録されることが多い。本研究では、「抗菌物質に関する研究」についての論文を対象として、医学とその境界領域の文献を収録するMEDLINE, EMBASE, BIOSIS, およびSCIの4つのデータベースにおける索引語の付与状況を分析し、その違いに基づいてデータベースの特徴を明らかにした。その結果、索引語を付与する際の視点は、データベースごとに異なっていることが確認された。さらに、数量化理論による分析を行った結果から、MEDLINEでは「生物科学」「人間の集団」、EMBASEでは「化学物質と医薬品」「疾病」、BIOSISでは「生物体」のように、各データベースの索引語付与には特徴的な傾向のあることが見出された。
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