Journal of Computer Aided Chemistry
Online ISSN : 1345-8647
ISSN-L : 1345-8647
計算化学と情報化学を融合した合成経路開発
堀 憲次山口 徹岡野 克彦
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2004 年 5 巻 p. 26-34

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抄録

目的化合物の新規合成経路を創生する手段として、合成経路設計システムが既に実用化されている。このようなシステムは、一般的に複数の合成経路を提案するが、多段階で反応を考えた場合、その合成経路の数は級数的に増加し、経験豊かな合成化学者でもその選択に迷う場合がありえる。一方、提案された合成経路の存在の有無は、理論計算を用いた反応解析により、実験を行うことなしに判断することができる。さらに溶媒効果や置換基効果を考慮した計算を行えば、提案された合成経路の容易さも評価できると考えられる。これは計算化学を情報化学的に得られた未知の合成反応に適用することにより、それらの合成経路のランクづけが可能であることを示している。しかしながら、両者を融合した合成経路開発は、その有用性にもかかわらずこれまでほとんど行われていない。本研究では計算化学と情報化学を融合して、実験化学者が合成経路設計システムを利用して新たな合成経路を開発する時に有用な遷移状態データベースとその周辺プログラム、将来性について述べる。

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© 2004 日本化学会
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