抄録
DNAやタンパク質などの物性を解明するために、分子動力学法をはじめとする分子シミュレーションが現在、盛んに使用されている。しかし、その計算コストは非常に大きく、高速化が求められている。高速多重極展開法(FMM)はシミュレーションの計算時間上、ボトルネックとなっているクーロン力計算の高速近似法として開発された。このFMMの欠点として、近似精度を向上させるためには計算時間の増大が避けられないことが挙げられる。本研究では、FMMの局所展開としてL2誤差ノルムに関する最良近似多項式である最小二乗近似多項式を導入することにより、計算コストの増大なしに精度を上げることが可能であることを示した。