2006 年 7 巻 p. 178-189
アデノシン三リン酸(ATP)は、高エネルギー結合を持つ分子として、生体内での様々な機構に必要なエネルギー源として広く利用されている。本研究では、ATPが有する特徴を明らかにする目的で、ATP、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン一リン酸(AMP)、及びグアノシン三リン酸(GTP)の安定構造と電子状態を、密度汎関数法に基づく高精度分子軌道計算により解析した。さらに、これらの分子とMg2+の複合体の安定構造と電子状態を解析し、ATPとMg2+の結合が最も強く、Mg-ATP複合体が加水分解しやすいことを明らかにした。