Journal of Computer Aided Chemistry
Online ISSN : 1345-8647
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タンパク質の機能解析を目指した三角形IDに基づくタンパク質三次元モチーフの検討
丸山 英俊海尻 賢二
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2006 年 7 巻 p. 57-68

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抄録
タンパク質の機能解析において、配列モチーフは重要な情報である。配列モチーフとは、機能を代表するアミノ酸部分配列であり、タンパク質ファミリにおいて非常に良く保存されている。未知タンパク質のアミノ酸配列中から配列モチーフを見つけ出すことで、そのタンパク質の機能を類推することができるのである。しかしアミノ酸配列に基づく配列モチーフ解析には限界があり、タンパク質立体構造からの特徴抽出の方法論が望まれている。タンパク質立体構造からの特徴抽出として三次元モチーフの研究が行われている。著者らは、新規な三角形IDに基づくタンパク質立体構造ホモロジー検索の可能性について検討を行ってきている。三角形IDとは、辺の長さに幅を持たせた三頂点20種類のアミノ酸の組み合わせ8000個の数値IDである。タンパク質のアミノ酸Cαの位置関係を三角形に見立て、該当する三角形IDにすべて数値変換し、その三角形IDを比較する方法である。その三角形IDに基づくタンパク質立体構造ホモロジー検索を行い、有効性を示した。本論文では、この三角形IDに基づく近傍三角形IDを用いて、タンパク質ファミリの三次元的特徴、すなわち三次元モチーフの作成を試みた。同じファミリ中から任意に選択したいくつかのタンパク質の共通した近傍三角形IDを抽出し、三次元モチーフとした。具体的には、医薬品のターゲットとして注目され、また比較的立体構造データが多いプロテアーゼファミリに着目し、それら各ファミリの三次元モチーフの作成を行った。作成した三次元モチーフを用いて、プロテアーゼファミリ検証用データセットの機能解析を試みた。その結果、プロテアーゼの各ファミリへ帰属を可能とする類似度、選択性の高い三次元モチーフの作成ができた。三角形IDに基づく三次元モチーフを用いたタンパク質の機能解析の可能性を示した。
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© 2006 日本化学会
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