抄録
肥満2型糖尿病モデルラットにカテキンを摂取した際, 酸化ストレスや腎蔵組織に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.肥満2型糖尿病モデル5週齢雄ラットを4週間飼育した.実験飼料は普通食をControl群(n=6), カテキン添加した群をCatechin群(n=6)とし,後腹壁脂肪重量,酸化ストレス測定,腎臓の組織観察により比較検討した.結果は,後腹壁脂肪重量,酸化ストレスはControl群よりCatechin群で有意に低値を示した.腎臓組織においては,Control群のメサンギウム領域は毛細血管領域より拡大し,糸球体は分葉化していた.一方,Catechin群のメサンギウム領域は毛細血管とほぼ同等な領域まで回復した.以上より,肥満2型糖尿病モデルラットにカテキンを摂取させた際,腎臓組織ではメサンギウム細胞の損傷が抑制されたことから,カテキン摂取は酸化ストレスや糖尿病性腎症の炎症を抑制し,糖尿病の予防に役立つことが示唆された.