アスタキサンチンは,広く天然に存在する赤色のカロテノイドの一種であり,一重項酸素消去および抗脂質過酸化活性などの優れた抗酸化作用を有する.近年さまざまな生理活性が報告されるようになり,健康食品および化粧品素材として普及しつつ,予防医学の領域においても注目されている.本稿では,アスタキサンチンの由来,他のカロテノイドとの比較,化学的特長に触れつつ,抗脂質過酸化活性,抗炎症,血流改善,メタボリックシンドローム改善,眼精疲労改善,ピロリ菌抑制,脂質代謝改善,筋肉疲労改善,美肌効果,男性不妊症改善などの機能性,さらに体内動態および安全性についての細胞,動物試験,および臨床試験などの結果を取り上げ,補完代替医療素材としての可能性を紹介する.