子どものこころと脳の発達
Online ISSN : 2435-8819
Print ISSN : 2185-1417
総説
エビデンスに基づく療育・支援とは何か
小林 勝年儀間 裕貴北原 佶
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 11 巻 1 号 p. 3-10

詳細
抄録

療育とは児童福祉の精神に依拠しながらも「不治」という医療の限界を超えた課題に対する教育との架橋的試みから始まり,医療と育成の合成語として誕生した.これまで,医療モデルと生活モデルという異なる障害モデルより療育の目標や方法なども異なる療育が実践されてきた.しかし,今日では人間発達における生物心理社会モデルの浸透などにより生活モデルに集約される傾向にあり,「発達の最適化」が療育の共通目標として認識されつつある.すなわち,発達的可能性をどのように保障しているかという点に注目が寄せられたが,その議論を前進させるのは研究デザインによって位置づけられるエビデンスレベルと療育実践におけるエビデンス検証である.が,こうした包括的アプローチにおいては安易な時間的展望の中で処理されたり,低いエビデンスレベルのまま実践されるという陥穽が用意されていることを忘れてはなるまい.

著者関連情報
© 2020 大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
前の記事 次の記事
feedback
Top