Journal of Computer Chemistry, Japan
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ノート
HeH+の分子軌道エネルギー準位図
Amih SAGAN長岡 伸一寺前 裕之長嶋 雲兵
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2011 年 10 巻 4 号 p. 147-151

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抄録

HeH+は異核2原子分子の最も簡単なモデルであり,その結合形成はHe+ + H → HeH+ で表せる共有結合型とエネルギー的に安定なHe + H+ → HeH+の配位結合型がある.本ノートでは両者の分子軌道エネルギー準位図を示し,その違いについて説明する.用いた計算方法はHF/6-311++G**である.共有結合型の分子軌道エネルギー準位図では,HeH+の1σ軌道の軌道エネルギー(-1.6288a.u.)はHの1s (-0.4998a.u.)より低く,安定化しているがHe+の1s (-1.9983a.u.)より高く,不安定化している.1σ軌道はおもにHeの1s軌道で構成されており,HeH+のHeとHの形式電荷はそれぞれ約0.3および0.7である.このようにHの電子がHe+側に寄っているため,He+の1s軌道から見ると相対的に電子間反発で不安定化するように見える.他方配位結合型の分子軌道エネルギー準位図では,HeH+の1σ軌道の軌道エネルギーはH+の1s (-0.4998a.u.)およびHeの1s (-0.9176a.u.)より低く,安定化している.Heの電子がH+側に寄るため,Heの1s軌道の2つの電子の反発が緩和され安定化する.

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© 2011 日本コンピュータ化学会
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