Journal of Computer Chemistry, Japan
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研究論文
全解探索型計算の分散処理手法
矢部 誠玉城 哲平武田 穣小泉 淳一上田 一義
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2013 年 12 巻 3 号 p. 172-180

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抄録

マルチコア計算機が主流となり,MPIやOpenMPを用いた並列処理法が計算効率を高める手段としてよく用いられている.これらの技術を用いれば,規格に沿ってソースコードを編集し並列化ライブラリを通してプロセスを投げることで,比較的簡単に処理速度の向上を見込める.しかしながら,全解探索型の計算では多くの繰り返し計算を行うため,一回の計算処理(例えば内部エネルギーの算出や構造最適化計算)を行う毎に並列化処理を行う従来の方法では高速化が見込めない場合がある.それを解決する方法のひとつとして入力ファイルの前処理とデータベースによる分散処理法を提案する.この方法では,ソースコードを修正して並列化処理を挿入する一般的な方法とは大きく異なり,計算ソフトウェアに渡す入力ファイルを分割して別々のジョブとして処理させ最終的にはデータベースを利用してまとめて解析する手法をとることで,計算速度の向上,計算結果の信頼性の担保,データアクセスの利便性の向上が見込める.本研究ではこれらの方法を実装した分散処理システムIPDPを開発し,分子動力学ソフトウェアCharmmによるエネルギーマップ作成を行った.

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© 2013 日本コンピュータ化学会
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