抄録
1s電子により結合を形成するH2+, H2, HeH+, He2+, He22+について,平衡核間距離とポテンシャルエネルギー曲面,および軌道相互作用を解析した.平衡核間距離は,UMP2/6–311++G**レベルでそれぞれ1.0496,0.738,0.785,1.086,0.712 Å (1 Å = 1−10m)であり,それぞれの大小関係を電子反発と軌道相互作用で説明することができた.但しHe2+の核間距離がHe22+より長いのは,He22+の反結合性軌道に電子が入ったためと考えられるが,H2+より短いので,Heの1sの半径がHのそれに比べて短いことに起因している可能性もある.