Journal of Computer Chemistry, Japan
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研究論文
水酸基回転異性体を含むアルドヘキソピラノースの配座命名法
松原 正陽後藤 仁志
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2014 年 13 巻 5 号 p. 263-267

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抄録

多様な立体構造を形成できる糖および糖鎖において,その水酸基の回転異性は生体内の様々な分子認識機構の本質的な役割を果たしている.測定装置やシミュレーション技術の発達によって水酸基の詳細な立体配座解析が可能になってきたことから,統一的な立体配座の記述のための規約が必要になっている.本研究では,糖や糖鎖の配座異性体を一意に区別できるだけでなく,分子内および分子間相互作用を容易に識別できる,アルドヘキソピラノースの新たな命名法を提案する.本手法はピラノース環やヒドロキシメチル基の立体配座に対する従来の命名法に加え,環上の各水酸基の回転異性をピラノース環に沿って時計回り,反時計回り,内向き,あるいは外向きかによって,それぞれ"c”,"r”,"i”,"o”の4種類の記号で記述する.本手法を,気相中におけるすべての安定配座異性体の識別に適用し,ほぼ全ての配座異性体を一意に区別できることを確認した.

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© 2014 日本コンピュータ化学会
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