はじまりは,2018年の2月にいただいた「2019年度の秋季年会の開催を,先生にお願いすることは可能でしょうか.」のメールからでした.今年度の秋季年会の実行委員長を務めさせていただくことになり,開催の準備を進めてまいりました.小さい研究会の主催はあるものの,学会全般の運営をした経験のなく,不慣れなためか,場所の選定など準備が遅くなり,学会の先生方にはご心配をかけたのではと思います.最終的には,事務局,実行委員の皆様のご協力のおかげで,大きなトラブルもなく開催できました.秋季年会では,参加者138名,特別講演2件,口頭発表28件,ポスター発表54件と非常に多くの方々に参加・発表いただき,盛会に終えることができました.私は会場係も兼任しておりましたので,二日間発表を聞かせていただきましたが,非常に幅広い研究分野の発表にもかかわらず,どの発表に関しても活発な議論がなされていました.その様子は年会webページ (http://www.bio.info.hiroshima-cu.ac.jp/sccj2019/photo.html) に載せております.写真を通じて本秋季年会の雰囲気だけでも感じていただければと思います.
コンピュータ化学会秋季年会のもう一つの特色である,一般公開イベント「科学発信!! Hiroshima」では,特別講演,ブース展示に加えて,広島県内の高校生によるポスター発表も行われました.一生懸命発表する高校生と,学会の先生方や一般の方々との間で活発な交流がなされました.その後,ポスター発表の一つが,ここでの議論をもとに研究を深め,朝日新聞社主催の第17回高校生科学技術チャレンジ(JSEC2019)の全国大会への出場が決まったとの報告をいただきました.公立大学の教員として地域貢献は強く求められることですが,このような機会を通じて地元の高校生の科学研究に役立つことができたのはとてもうれしく,この点でも本年会の開催を引き受けてよかったと感じました.
さて,本号は,コンピュータ化学会2019秋季年会の発表の中から,精選された研究について,その意義や成果の要点をまとめた論文を集めたものです.計算方法の開発,物質科学・生命科学への応用,最近注目されているデータサイエンスを利用したものなどバラエティに富んだ内容になっています.コンピュータ化学が非常に幅広い科学分野に関わっていることがわかるかと思います.