Abstract
ミュオンはスピン1/2を持つレプトンという種類の素粒子である.
ミュオンのスピンは磁場や電場と双極子能率を通じて相互作用する.ミュオンの異常磁気(双極子)能率は素粒子標準理論において極めて精密に計算することができる.先行研究では,20年前よりその測定値が予想値よりも大きい兆候が示唆され現在に至る.これは素粒子物理学上の重要な未解決問題となっている.現在,米国では従来の方法で新しい測定が行われている.日本ではミュオンを冷却して加速するという新しい方法でこの問題を解決する研究を進めている.本稿ではミュオンの異常磁気能率の精密測定の最前線について平易に解説する.
1 素粒子としてのミュオン
素粒子は万物の最も小さい構成要素であり,これ以上分割することができない. そこに働く物理法則を研究するのが素粒子物理学である.素粒子のスケールにおける物理法則が,
我々が知り得る最も大きな対象である 宇宙の成り立ちを決定づけていることは驚くべきことである.これは,宇宙誕生時の極めてコンパクトかつ高エネルギー(温度)状態から
現在に至るまでに,素粒子の物理法則が重要となる
ドメインを経る必要があるからである.現代宇宙論において,最も大きな問題の一つは,暗黒物質の存在であろう.暗黒物質に相当する素粒子はまだ見つかっていない.
素粒子物理学では,様々な素粒子現象を定量的に説明し,数学的な整合性を有する堅牢な理論
(標準理論)が構築されている.標準理論は,クォーク(6種類)とレプトン(6種類)と呼ばれる素粒子と,それらの相互作用を表すゲージ粒子(4種類),素粒子に質量を与える
ヒッグス粒子で構成されている. 標準理論は, 現在までに観測されているほぼ全ての素粒子現象を記述することができる, 素粒子物理学者が築き上げてきた金字塔である.
しかしながら,標準理論では答えられない以下の重要課題がある.なぜ一番重い素粒子と軽い素粒子の質量 が10桁以上にわたって異なるのか,
暗黒物質に相当する素粒子は何か,この宇宙から反物質がなくなり 物質優勢になったのはなぜか
,などである.これらの問題を解決するためには,素粒子の新しい物理現象とその背後にある対称性を研究し,
標準理論を拡張しなければならない.そのためにまず重要となるのは,標準理論で説明できない物理現象を 実験事実として確立することである.
ミュオンはレプトンの一つである.レプトンにはミュオンの他に電子,タウ粒子,ニュートリノがあり, 「強い相互作用」が働かないことが特徴である.
ミュオンは電子よりも200倍質量が大きく,スピン1/2を持つ.2.2マイクロ秒の寿命で電子と2つのニュートリノに崩壊する.地表に降り注ぐ宇宙線のほとんどがミュオンである.手のひらを上に向けると毎秒1個のミュオンが通過する.最先端の加速器を用いると毎秒108個のミュオンを人工的に作り出すことができる.このため沢山の粒子を用いて
可能となる超精密測定や,極めてまれに起こる現象の探索に適している.本記事では,その中でもミュオンの異常磁気能率を精密に測定することによって標準理論の綻びを検証する研究について紹介する.
2 磁気能率と異常磁気能率
スピンを用いた測定は,これまで様々な物理現象の発見をもたらした.その多くは双極子能率を用いたものである.
双極子能率はスピンに比例する形で定義される物理量である.以下では,ミュオンのスピン,磁気双極子能率,電気双極子能率
をそれぞれ,s→, μ→ ,d→
と表記する.
静的な電場(E→)や磁場(B→)中では,
双極子能率との相互作用ハミルトニアンは
とかける.ここで
μ→ =ge2mμs→,d→ = ηe2mμcs→ | (2) |
である.
gはランデの
g因子,
ηは電気双極子能率(EDM)の大きさを示す無次元量である.Dirac方程式を非相対論近似した最低次をとると,
g因子は正確に2となるが,量子ループを含む高次項を入れると
g因子は2からズレる.このズレを
g
−
2あるいは,
aμ =(g−2)/2
と表し,異常磁気(双極子)能率と呼ぶ.
g −
2は,Lambシフトなどと同様,量子補正の大きさを直接示す物理量である.歴史をひも解くと,初期の電子
g − 2測定 [
1]が量子補正の発見と量子電気力学(QED)の検証に大きな役割を果たし,後の朝永,Schwinger,Feynmanのノーベル賞につながったのは周知の事実である.
g 因子は量子論的効果により様々な相互作用に起因する量子補正を受ける.レプトンのg −
2は標準理論で精密に計算することができ, 実験値と予想値のズレを測ることで標準理論を超える物理現象の有無を探ることができる.ミュオンのg −
2については,1960年代に欧州原子核研究所(CERN)で測定が行われて以来,60年近い歴史がある.直近では,米国ブルックヘブン国立研究所(BNL)での実験は
ミュオンg − 2を0.54 ppm の精度で測定し
aμ = 11659208.9±6.3×10−11
という結果を得た [2].これは標準理論の予想値よりも 測定誤差 (標準偏差σ)
の3倍以上大きい値になっていることがわかった.ミュオンのg −
2はスピンの歳差運動を用いて測定する.歳差運動の古典的な例として,コマの歳差運動が挙げられる.角運動量をもつ剛体にトルクを与えると,角運動量の回転軸がある軸の周りに円をえがくように振れる現象である.ミュオンのスピンもコマと同様に歳差運動をする.歳差運動にはその源となるトルク(=外場)が必要で,今の場合,磁場や電場が外場に相当する.一般に電磁気相互作用・強い相互作用・弱い相互作用の全てがミュオンと外場との結合の強さに寄与する.加えて,もし未知の相互作用が存在し,これもまた結合強さに寄与するならば,g
− 2 の値が標準模型の予想からズレるはずである.
3 標準理論の高精度計算
標準理論においてg − 2の値は非常に高精度で計算できる.計算では,量子電磁気学(QED),強い相互作用,弱い相互作用による量子ループの評価を行う.
以下に概要を述べる.量子ループの計算は,ファインマンダイアグラムと呼ばれる図式を用いて分類わけする.その例をFigure 1に示す.ファインマンダイアグラムは粒子を線で表し,線と線をつなぐ点でその相互作用を表現する方法である.
線の種類や繋がり方によって量子力学的な過程を表す.QEDの最低次の量子ループはFigure
1(a)である.これに対応する量子効果の値は,QEDの黎明期にシュウィンガーによって計算され,微細構造定数αを用いてα2π
となる [5].その後,現在に至るまでQEDのさらに高次項(Figure
1(b)–(h))の計算が続いており,年々精度が向上している.2012年には青山・早川・木下・仁尾により電子およびミュオンg −
2に対する 10次のQED量子補正に関する結果が公表された [6].これは実に1万を超えるファインマンダイアグラムから構成され, その全ての寄与と誤差の評価が行われた.現段階では,計算結果と電子g
− 2の実験値の間で有意なズレは見られていない.現在のQED項の誤差は,微細構造定数αの誤差で決まっており, 逆にQED計算結果と電子g −
2の測定値との比較からαを決めるということが行われている [7].
弱い相互作用を含む量子ループには,WボソンやZボソンが関与する項(例:Figure 1
(j)(k))が表れる.この項の最低次はFermi結合定数とWeinberg角と呼ばれる標準理論の定数で決まる.これらは過去の実験において非常に精度よく決定されている.2012年に発見されたヒッグス粒子は高次の項からしか関与しないため,
LHCでヒッグス粒子の質量が決まった前後で,この項の中心値の変化は僅かであった [8].
現時点で,弱い相互作用の項の誤差は次に述べる強い相互作用の項に比べると一桁小さく, 今後の議論でも当面は問題になることはない.
ミュオンg − 2の理論計算において,誤差が最も大きいのは強い相互作用をループに含む項(Figure 1(i))である. 強い相互作用が関与する系は量子色力学(QCD)によって記述されるが,
QCDはエネルギー領域において非摂動的であるため, この項はQEDのように摂動的計算手法を用いて計算できない. 幸いなことに,最低次の項については,分散関係と光学定理を用いることで
電子・陽電子衝突で生じるハドロン生成断面積の実験データから計算することができる.
電子・陽電子衝突実験のデータは,年々新しいデータが発表され,高精度なデータベースが存在する.特に低エネルギーのデータが重要であり,近年では中国・北京のBES-III実験 [9]や ロシア・ノボシビルスクの実験 [14]でも新しいデータの取得が行われている. 将来は,茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機構のBelle II実験のデータから
高統計のインプットが得られることが期待される.
近年,g − 2の標準理論計算の高精度化と集約を行う研究グループ「 g − 2 theory
initiative」が発足し, 関連する理論研究者・実験研究者が結集し,g − 2の標準理論計算に関するホワイトペーパーを出版した [10].ホワイトペーパーではこの研究に関与する全ての研究者の合意が得られた最新の理論計算値が報告されている.
これと実験値を比較してみよう.ミュオンg −
2の標準模型からのズレをΔaμ
とすると,Δaμ = (279±76)×10−11
となる. このズレを説明し得る理論として, 暗黒光子・超対称性模型・レプトクォーク模型(それぞれFigure
1(l)(m)(o)) などが提案・議論されている [11,12,13].
ズレの大きさは電弱相互作用からの寄与とほぼ同程度である.このことから,弱い相互作用のゲージボソンと同程度の質量スケール(∼100 GeV)に
未知の粒子や相互作用があると議論されてきた.これが,LHC実験(欧州の陽子-陽子衝突型加速器実験)の初期データで
新しい素粒子が見つかると期待されていた理由の一つでもある.しかし,現時点で,LHC実験から新粒子発見のニュースはまだない.このような状況もあり,g
− 2のズレを素粒子物理学の最も深刻な問題と考えている理論研究者もいる.実際にBNL実験の最終報告論文 [2]の引用数は年々増加しており,積算で2,000を超えている.
4 g − 2の精密測定
次に実験でg −
2をどのように精密測定するのか紹介したい.g因子が正確に2であれば,磁場に対するスピンの回転周波数は
ミュオンの磁場中の回転運動(サイクロトロン運動)の周波数と完全に一致する.しかし実際はg −
2はゼロではないので,スピンは運動量に対してわずかに早く回転する.
この運動量に対するスピンの回転は,g因子の2からの差,すなわちg − 2によって生じていている.
スピン歳差運動の角速度ωは以下のように表せる [15]
ω→a = −emμ[aμB→−(aμ−1γ2−1)β→×E→c]. | (3) |
ここで,β, γはそれぞれ光速を単位とした速度ベクトル,ローレンツ因子である.
第1項は磁場による回転,第2項は相対論的に運動しているミュオンが実験室系の電場を見たときに感じる有効磁場による歳差運動である.本来はEDMによる歳差運動の項も加わるが簡単のためここでは省略する.
先行実験では,魔法運動量と呼ばれる特殊な運動量で実験を行うことで,高い精度を得る工夫がされている.aμ
はおおよそα2π~1/1000
であるので,γ = pmμ
が29.4である時は第2項の係数が小さくなる.この条件では第1項だけ考慮すればよくωとBを精度よく測定すれば,aμ を決定できる.このときのミュオンの運動量
(p = 3.094GeV/c) を魔法運動量と呼ぶ.
BNLの実験 [2]では魔法運動量のミュオンビームを用いてg −
2の測定を行った.BNL実験では,AGS (the Alternating Gradient Synchrotron)から取出された陽子ビームを
原子核標的に打ち込んでパイオンを生成し,そのパイオン崩壊で生成したミュオンをビームとして用いたため,非常にエミッタンスが大きいビームであった.そこで,このミュオンを収束させて蓄積しておくために収束電場が必要となった.この収束電場による式(2)第2項の影響を測定が受けないようにするために,魔法運動量で測定を行なったのである.蓄積リングとして一体型の超伝導コイルを用いることで安定かつ一様な磁場を実現し,
直径14 m蓄積領域の平均磁場を0.17 ppmの精度で測定した.現在,BNLからFermilabへ蓄積磁石を移設し,さらにデータを取得する実験 [16]
が始まっている.2020年の時点でBNL先行実験を超えるデータの取得を終えており,近々最初の結果が公開される予定である.
このような状況の中,いま次世代の新しい実験が必要とされている.
まず,新しい発見は独立に検証されるべきということである.Fermilabでの実験はBNLと同じ方法かつ主要な実験装置も同じであるため,自ずと系統誤差は強い相関をもっている.g
−
2の理論計算との差の有無に決着をつけるためには,全く新しい独立な測定が必要である.第2に,BNL/Fermilabの方法は,最終的にはビームに起因する系統誤差で制限されるということである.
例えば,ビームが蓄積リング内で蓄積可能な空間を埋め尽くすために起きるビームロスや,強い収束が必要なためビームのベータトロン振動数がg −
2振動数の近傍になることに起因する系統誤差が主要な誤差要因になっている.この測定にエミッタンスが小さいビームを用いることができれば,小さいビームサイズとわずかな収束力でビームを蓄積することができるため,これらの系統誤差を払拭することができることになる.
そこでJ-PARCではエミッタンスが先行実験の1/1000程度の「極冷ミュオンビーム」を用いた新しい実験の準備を進めている [17].これにより,BNLの結果の独立な検証を行うことに加え,最終的にはFermilabの精度を超える高い精度で測定を行う可能性が開ける.
ここで,あらためて式3の第2項をみると,電場をゼロにすることによってもこの項を消せることがわかる.この場合,いかなる運動量でも「魔法運動量」の条件を満たすことができる.前述の通り,ミュオンの蓄積のために収束電場が必須であったが,収束電場を用いなくてもミュオンビームが広がらないような極冷ミュオンビームが実現すれば,電場を無くすことが可能になる.極冷ミュオンビームは,ミュオンビームを熱エネルギーまで減速し,ミュオニウム(μ+e−束縛状態)を生成,それをレーザー共鳴解離したのち,直線加速器で再加速することで得られる新しい量子ビームである.この場合も,式(2)は同様に簡略化され,より単純な式
になる.
Figure
2にこの実験概要を示す.実験はJ-PARCの物質生命科学実験施設(MLF)のミュオンビームライン(H-Line) [18]にて行う.H-Lineは最大120MeV/cまでの正電荷ミュオンや負電荷ミュオン などを供給できる汎用ビームラインであり,
スピン偏極した約28
MeV/cのミュオンビームの生成が可能である.H-Lineのミュオンビームをミュオニウム生成標的で静止させる.ここでミュオンは熱化され標的温度で決まるエネルギーまで減速され,電子を捕獲しミュオニウムとなり,
標的外へ放出される.真空紫外レーザー(122 nm/355 nm)を用いてミューオニウムから電子を解離すると,熱エネルギー(25 meV, 運動量広がり
keV/c)程度の超低速のミュオンができる. これを直線加速器でエネルギー212 MeV (運動量 p = 300
MeV/c)まで加速することで非常に指向性の良いビーム,つまりビームに対して横方向の広がりが極めて小さい(冷えた状態のままの),極冷ミュオンビーム,ができる.このビームを3
Tの超伝導ソレノイド蓄積磁石へ入射する.ビームを蓄積磁場と平行な方向から入射する新しい手法(三次元らせん入射法)を用いる.この蓄積磁石は1 ppmの局所均一度を持つ,極めて
一様性が高い蓄積磁場
を生成し,ミュオンビームを蓄積する.崩壊で生成した陽電子をシリコン飛跡検出器で測定することによりωaを精密に決定する.NMRを用いて行う磁場測定の結果と組み合わせて,g
− 2を0.5 ppmを超える精度で測定することを目指している.実験は主要な要素技術の開発を終え,現在装置建設が始まろうとしている段階である.
5 終わりに
本稿では,ミュオンg − 2の超精密測定とそれを用いた素粒子標準理論を超える新しい物理法則の探索について
概要を述べた.新しい実験や理論計算の精度の向上は世界各国において,まさに日進月歩で進んでおり,今後5–10年で研究が急速に進展すると予想される.これによってg
− 2の素粒子標準理論からのずれの問題に決着がつく日は近いと考えている.
謝辞
本研究はJSPS科研費・特別推進研究(20H05625) の助成を受けたものです.
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