2021 年 20 巻 2 号 p. 60-70
Fisher Discriminant Orthogonal Decomposition (FDOD)は,Fisher Discriminant Analysis (FDA)に正則化係数と直交分解を適用した判別分析法である.これにより,多変量データの判別分析において過学習を回避すること,グループ数以上の判別軸を求めることが可能になった.しかし,FDODは計算時間やメモリを多く消費する方法である.そこで,分析データを特異値分解して冗長データを取り除くことで,計算時間やメモリを節約する方法,Fast Fisher Discriminant Orthogonal Decomposition (FFDOD)を開発した.7054波数のデータからなる6種のセルロール系繊維の赤外級数スペクトル275個にFFDODを適用した場合,FDODと比較して約1/84の計算時間となった.特異値分解の計算を除外すると,約1/290と顕著な高速化が実現できた.また,FFDODとFDODの結果を比較することとで,計算精度においても同等であることが示された.