2022 Volume 20 Issue 4 Pages A51
以前からコンピュータ化学会の秋年会は,分子科学会の発表申し込みにデータ等が間に合わなかった学生の発表の場として何度か参加させていただいていて,またさらに精選論文集にも掲載させていただいておりました.年会自体のアットホームな雰囲気に加え,分子科学会や理論化学会とは違った観点からのご意見を頂戴したりして,学生の教育の場としても重宝しております.それなのにも関わらず(既に入会している学会数が多くて)会員になるのを躊躇しておりました.後藤先生より,電話がかかってきた時には「もうそろそろ年貢の納め時だ」ということで,本年会の筑波大学での開催を「快く」引き受けさせていただきました.問題はコロナ禍でどのように年会のアクティビティ,およびレベルを落とさず,参加してもらえるのかでした.蓋を開けてみるとその問題は杞憂に終わり,やはりこの学会を大切に思っている人は大勢いるものだなと痛感しました.残念ながら一般公開イベントは見送り,年会の日程も2日間に制限することとなりましたが,短い準備期間でもなんとか及第点の学会が開催できたかなと個人的に安堵しております..
さて,日本コンピュータ化学会2021秋季年会は,2021年11月2日(火)〜11月3日(水祝日)に,筑波大学計算科学研究センターにおいて開催されました(詳細は下記のHPを参照ください.https://www2.ccs.tsukuba.ac.jp/people/sccj2021aut/).当初はハイフレックスでオンサイトとオンラインを同時に行うつもりでしたが,各研究教育機関において新型ウィルス感染症の出張制限等が参加申し込みの時点でも続いたために現地参加者の登録が少なく,やむなくオンライン開催に切り替えることとなりました.参加者は124名,発表件数70件(特別講演2件,口頭発表32件,ポスター発表36件)で,企業展示では,5社(株式会社クロスアビリティ,東京工業大学学術国際情報センター,株式会社モルシス,コンフレックス株式会社,株式会社ビジュアルテクノロジー)から出展頂き,2日間のプログラム編成には目一杯の盛会となりました.
本秋季年会では,計算ドラッグディスカバリーを専門とする筑波大学医学医療系の広川貴次先生,マテリアルズインフォマティクスを専門とするなら先端科学技術大学院大学の藤井幹也先生に,それぞれ「様々な分子シミュレーションを駆使した創薬支援研究」(広川先生),「マテリアルズ・インフォマティクスによる新材料設計」(藤井先生)の講演タイトルで特別講演をして頂きました.お二人とも,昔からの馴染みの先生ということで,お忙しい中にも関わらず講演を快く引き受けて頂き,感謝の念に堪えません.
新しい試みとして,企業CMを休み時間に流し続けることとSpatial Chatによるオンライン懇親会を実施しました.また,オンライン懇親会では企業展示を申し込んでいただいた企業のバーチャルブースもつくり,企業関係で何名かの方も直接参加して参加者との交流をしていただくことができました.オフライン・オンラインの良さ・悪さをいくつか知ることができ,コロナ禍が過ぎた後にどう年会の開催形態が進化していくか楽しみです.