Journal of Computer Chemistry, Japan
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General Papers
単糖の変換経路の自動生成システム
野中 利之田嶋 聖彦服部 秀雄新井 邦夫
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2006 年 5 巻 2 号 p. 59-74

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抄録
持続可能な社会の構築に向けて、バイオマス資源を用いた化学プロセスの開発が期待されている。バイオマスを構成する糖類は、一般にそれぞれの構成炭素が1個の酸素を保有し、その中の1つの炭素がカルボニル基となっている他は、全体に水素で飽和されている。このことから、炭素・水素・酸素を構成元素とする化合物は、原理的に同一炭素数の単糖または単糖の水和物を出発原料として、不要な水素と酸素を脱離させた反応中間体を経由することによってほとんどすべてを誘導することが可能である。
しかしながら、複雑な反応性を有する糖から目的化合物への変換経路を考えることは一般には困難である。そこで、著者らは単糖の化学工業原料としての可能性を検討する一助として、従来明らかにされている糖類の基本的な反応パターンに基づいた糖分子の構造の変化を計算機内で実現し、目的化合物と出発原料である単糖の間の合成経路を自動的に生成するシステムを開発した。
プログラムは、Pascalで記述されており、Linux上で実行される。糖類に関する基礎反応を用いて、単糖から目的化合物まで考えられる複数の合成経路を明示することを主目的とする。
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© 2006 日本コンピュータ化学会
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