抄録
分子動力学シミュレーションを行うとき、時間刻みをどの程度まで大きく取ることができるのか、その許容範囲について調べた。積分方法はベルレ法を用い、時間刻み幅を0.02フェムト秒(fs)から3.0 fs まで増大させた。5種類のアミノ酸(Glycine, Alanine, Valine, Leucine, Isoleucine )3量体を計算対象とした。
基準時間刻み(0.02 fs)とその他の時間刻みについてのエネルギー差の平均値は、時間刻み幅のほぼ2乗で増加するが、標準偏差は時間刻み0.5 fsから1.5 fsまではほとんど差がみられなかった。つまり、この範囲内ではどの時間刻みでシミュレーションを行ってもあまり差がない。ゆえに、今回の例の場合、時間刻み1.5 fs付近でシミュレーションを行うのが時間短縮の面から効果的である事が示唆された。